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 【[雑学]アフリカ・中近東

世界遺産雑学10--約束の地 カナン--
2000.05.11
 
世界遺産雑学10

--約束の地 カナン--

世界遺産のなかでもっとも危機的状況にある世界遺産。
それは3つの宗教の聖地であるため。
3000年前から、皆、その場所を目指した。

エルサレムの旧市街とその城壁郡  イスラエル(ヨルダン申請)


エルサレムそれはキリスト教、ユダヤ教、イスラム今日の聖地。
そこには数々の思いがある。

ユダヤ教にとってはユダヤ国の王宮があった場所。
モーセはエジプトから困窮したユダヤの民を助けるためにシナイ山に向かった。その際海を切り裂いて民を対岸まで渡した伝説が残っている。そしてモーセはシナイ山にのぼり神のお告げを聞きモーセの十戒書いた。そして神から約束された地カナンに向かったのである。このカナンこそエルサレム。こうして民はカナンに王国を作ったのである。
このためユダヤ教の人はエルサレムを聖地とした。現在、嘆きの壁に向かって聖書を読んでいるがこの嘆きの壁こそ王宮の跡。王国を失ってからイスラエル建国までの2000年間この場所に再び王国を作ろうとしたユダヤの人が嘆き悲しんだ場所からその名前がついた。

キリスト教にとってはイエスキリストがなくなった場所。
もともとイエスキリストはユダヤ教の宣教者だった。しかし、王国の腐敗をみて改革に乗り出した。これによりユダヤ教に目をつけられ、命を狙われることとなる。その後、新たな考えを布教した弟子をとったキリストだが13人目のユダの裏切りによりとうとうユダヤの人に捕まってしまう。
ビエドロ・ローサ
それはキリストが処刑場のゴルゴダの丘まで十字架を担いで歩いた道。現在でも観光客が絶え間なくこの道を歩いている。そして最後に処刑された場所ゴルゴダの丘にはキリスト教最大の聖地、聖墳墓教会がたっている。この聖墳墓教会は第一次十字軍が聖地を奪回したときに立てた教会で24時間キリストのために祈りが絶えていない。

イスラム教にとっては第3の聖地。
創始者ムハンマドが神からの啓示を聞いた場所が第1の聖地メッカ。ムハンマドが生まれた町が第2の聖地メディナ。
そしてエルサレムがムハンマドがなくなった後、神の元に旅立ったとされる場所。イスラエルの丘にある岩の上から天に昇ったとされる。このためイスラム教はこの岩を守るために周辺に建物を建てた。この建物こそ聖地、岩のドーム。もちろん中には丘に立っていた岩が壊れないように守ってある。

こうして、それぞれの聖地となったエルサレムは宗教対立の中心地として争いが耐えなくなってしまった。また、聖地であるがゆえに参拝する観光客が増えてしまった。このような原因から危機遺産として登録された。
現時点では危機遺産からの脱却方法がまったくといっていいほどない。なぜならば3つの宗教があるから。

エルサレム、それはもっとも神から約束された場所であり、もっとも危険を持った世界遺産である。