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 【[雑学]ヨーロッパ

世界遺産雑学96--物語を信じた男が見つけた場所--
2000.12.30
 
世界遺産雑学96

--物語を信じた男が見つけた場所--

古代の叙事詩「イリアス」
それは古代ギリシア時代の吟遊詩人ホメロスによって書かれたもの。
ただの作り話と伝えられたが一人の男はそれを実話と信じ続けた。
男の名は「ハインリヒ・シュリーマン」


トロイア遺跡  トルコ
ミュケナイとティリンスの考古遺跡  ギリシア


かれは、子供の時にこの叙事詩イリアスと出会う。
その際シュリーマンはこの本が実話の世界だと疑わなかった。
そして大人になっていくと彼は実業家になっていた。
巨万の富を手にしていたのである。
そこでシュリーマンは子供の頃に描いた夢を実現に移す。
自費でトロイアの発掘を始めたのである。
シュリーマンは研究を重ね、叙事詩に描かれていた風景と一致するところを探し出した。
それはヒッサルリクの丘であった。
こうして1870年に発掘を開始。
およそ3年後その場所から財宝が見つかる。
まぎれもなくここがトロイアと判明した瞬間であった。
これは当時の歴史を覆す大発見となるのである。

しかしシュリーマンはトロイアの発見だけでは満足しなかった。
さらにイリアスに描かれている敵国ミュケナイの発見に力をそそいだ。
そしてトロイアとは海を隔てたギリシアである遺跡が発見される。
ここからはたくさんの黄金の埋葬品が出土した。
実は叙事詩の中ではミュケナイは黄金に富んだ王国と紹介されていた。
このため、シュリーマンはここがミュケナイと断定したのであった。
その後、科学が発展するにあたり、ここはイリアスに描かれた場所では無いことが判明。
イリアスの物語よりおよそ300年前のミュケナイであることが分かったのである。


シュリーマンがトロイアの発見後、遺跡からは数々の事実が判明した。
それはトロイアの街は繁栄と滅亡を繰り返しそのたびに建て替えられた街であったこと。
およそ9つの市が見つかったのである。
実際にシュリーマンが財宝を発見したのが第2市と呼ばれる場所。
第2市はホメロスが書いた時代より500年前の遺跡。
どこがホメロスの書いた時代なのかは諸説あるが、最大の説は第6市説。
ここにはたくさんのミュケナイの武器が見つかっていることと火災の痕が残る。
これはホメロスの叙事詩の一小節と同じ火災で滅んだところが同じだからである。
現在、トロイアの遺跡には伝説を模したトロイアの木馬が復元されている。


ホメロスの叙事詩「イリアス」に登場したトロイアは当時の文化や交流を示す重要な場所として1998年に、ミュケナイとティリンスの考古遺跡は古代ギリシアの都市構造や建造物の手本として1999年に世界遺産に登録された。
ここはシュリーマンが物語から実話へと変えた場所であった。




シュリーマン。
あこがれる人の一人です。
すべてを捨てて夢を追い続ける。
かっこいい生き方です。
自分も世界遺産を旅するという夢を追い続けます。