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 【[雑学]ヨーロッパ

世界遺産雑学104--特殊な世界遺産Vol.17 --
2000.12.30
 
世界遺産雑学104

特殊な世界遺産Vol.17
「水力、運河」

--輸送の能力を上げるために必要だったもの--

産業革命後特に重要となったもの
それは輸送能力。
そのため人々は運河を築き船で輸送能力を上げようとした。
しかし一つの問題が彼らを襲うのである。


ラ・ルヴィエールとル・ルー(エノー)の中央運河と四つの閘門とその周辺環境  ベルギー

ベルギー・エノー州。
ここにあるものが存在する。
中央運河である。
中央運河とはドイツとフランス間における物資の輸送を行うために作られた運河のこと。
とりわけこの運河は重要なものであった。
それこそ産業革命により一気に発展した工業を支えるものである。

工場の生産に必要なものは何か?
それは燃料であったり材料であったりそれも産業革命以降ではものすごい量を必要とした。
その燃料や材料を集めるに必要だったのが運河だ。
陸上ではまだ輸送能力がなかった時代、彼らは船にその輸送力を求めたのである。
こうして、ヨーロッパの各地に運河が作られるようになった。

もちろんベルギーでも例外ではなかった。
特にベルギーにはフランス、イギリス、ドイツなどの強国に挟まれているためより大きな輸送能力が必要となったのである。
しかし、この中央運河には運河としての最大の致命点が存在した。
それは運河の構造上、どうしても解決できなかったこと。
「高低差」である。
フランスとドイツをつなげる際に一番問題になったものは67mにもわたる高低差であった。
運河とは陸上に溝を掘りその溝に水を張り、船を浮かべるといったもの。
高低差が存在すると、低い方へと水が流れて行ってしまいどうしても高いところには水がなくなってしまうのである。
このため中央運河の建設は不可能に思えた。

しかし、この高低差を解決する一つの方法が開発される。
それこそ、4つの「閘門(こうもん)」である。
閘門とはわかりやすく言うとエレベータのこと。
まず、閘門を使った運河の作り方を簡単に言うと高低差のある場所をすべて階段状に作る。
もちろんそれはすべて平らな場所と直角な場所しかないことを意味する。
この直角の部分のすべてにエレベーターを配備することができたらあとは水は水平を保とうとするため、平らな部分には水が張った水路が出来上がる仕組みである。
こうしてすべての場所に水が行き届き船を通すことが可能となったのだ。

では、どのようにしてエレベータは作られたのか?
当時はそんな大きな機械は作れなかった時代である。
このため、身近なものでそれを作り上げることが必須であった。
そこで考えられたのが運河に使われているもの「水」を使ったのである。
高低差が存在しているということは水は上から下に流れようとする。
ではその下に流れた水を大きな囲いで囲ったらどうなるか。
それは囲いの中にどんどん水がたまり上に押し上げられることを意味する。
ではさらにその中に船を浮かべたら。
そうすると船はどんどん上にあがっていくのである。
この原理を応用したのがこの閘門。
船を上にあげる場合、上の門から水を流し船を上昇させる。
船を下に下げる場合、下の門から水を流し船を加工させる。
彼らは水の特性をうまく利用して高低差を克服したのである。
ただし、1度に17mの高低差しか対応できなかったため、4つの閘門が存在し67mを対応しているのである。

現在、技術の発展に伴い中央運河の近くに新たに運河が作られた。
しかもそちらの運河は1度に67mの高低差を移動させているのである。
このため、中央運河を利用する人がいなくなった。
これにより中央運河の廃止を求める声が上がったが世界遺産に登録されたことにより、現在でも稼働し続けているのである。


このベルギーに作られた中央運河とその4つの閘門は水の原理をうまく使った施設であり、水力工学技術の高さを示すことから1998年世界遺産に登録された。
ここには水のすべてを知り尽くした努力の結晶が残っているのである。




どうでしたか。
この水を使った世界遺産。
あるものをうまく使いそれから発展したものなども世界遺産に登録されます。
それにしてもベネルスク3国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)にはほんと水と関係した世界遺産が多いです。。