TOP > ひさほゆうのリアルタイム世界遺産旅行ブログ

カテゴリー
ひさほゆうが独自の視点で世界遺産を解説!
最新コメント

 【[雑学]ヨーロッパ

世界遺産雑学107--特殊な世界遺産Vol.18--
2000.12.30
 
世界遺産雑学107

特殊な世界遺産Vol.18
「鉄道」

--アルプスに挑んだ鉄の道--


人の侵入を拒んだアルプス山脈
さまざまな渓谷と高低差があり通り抜けることは困難を極めた。
しかし、人々はアルプス山脈を越えたい理由があった。
それも、「鉄道」で。


センメリング鉄道   オーストリア

中央ヨーロッパ、オーストリア共和国。
音楽の国として有名であり、天才モーツァルトの出身国でもある。
こんなきらびやかな国にある一本の路線。
これこそがセンメリング鉄道である。
グログニツ駅からセンメリング駅を経由しミュルツツーシュラーク駅までの全長41.8km。
オーストリア首都ウィーンと第二の都市グラーツをつなぐ主要な線路の中の一部分にあたる。

しかし、この41.8kmには過酷な現状が待っていた。
アルプス山脈である。
標高は1000mを超え、さまざまな谷や峠などが立ちはだかっていた。
到底、人が通る場所などなかったのである。
そんな過酷な場所にあえて鉄道を作ろうと考え出した。
それには大きな原因があったのである。

時は18世紀。
当時のオーストリアは帝国時代。
ハプスブルグ家が統治していたオーストリア帝国の時である。
ハプスブルグ家が政治を取っていた場所こそウィーン。
このウィーンには当時鉄道網が発達しており、ヨーロッパ中との交易も栄えていたのである。
しかし、ひとつだけ直接つながっていない場所があった。
イタリアである。
なぜならばウィーンから南に行こうとするとどうしても避けて通れない場所、アルプス山脈があったから。
オーストリアの人にとってイタリアはとても魅力のある場所であった。
数々の建造物やキリスト教の聖地を擁しており観光にはうってつけの場所であった。
また、海からの物資を運べないという理由も存在した。
このため、ウィーンからイタリアまでの鉄道の建設が始まる。
世界で初めてアルプス山脈に鉄道を通すことにチャレンジしたのである。

 title=""alt=""

こうしてある一人の男に建設を依頼する。
土木建築技師カール・ゲガ。
かれはこの無理難題に挑戦した。
まず、彼は周辺の地図を眺め鉄道に最適なルートを探し出す。
そして見つけ出したルートは谷が16つ、山が16つあるルートであった。
彼はすべての谷に石組みのアーチ型橋を、すべての山にはトンネルを掘るという工事を推し進めた。
さらに彼には一つの信念があった。
それは景観を壊さないこと。
アルプスの大自然の中に鉄道を通す仕事において鉄の橋だと自然と溶け込まない。
そこでわざわざ建設が大変な石を選択するのであった。
もちろん景観を壊さないことはいかにトンネルを小さくするのもあった。
このため、石のトンネルだと巨大な石が必要になってトンネルが大きくなってしまう。
逆にトンネルには鉄を使うことによって小さく作ることを可能としたのである。

こうしてセンメリング鉄道は完成する。
1kmに25mもの傾斜を持つ場所や大自然の中、様々な橋、トンネルを作る大工事だったにも関わらずわずか6年の歳月しかかからなかった。
しかも、ダイナマイトなどの建築道具がない時代。
まさに彼は奇跡を起こしたのである。

 title=""alt=""

センメリング鉄道は初めてアルプスを越えた鉄道として、また鉄道建設の黎明期を担ったことなどにより1998年世界遺産に登録された。
150年たった今でもセンメリング鉄道は稼働し続けている。



鉄道の世界遺産は現在2つあります。
ひとつはここと、もう一つはインドにあります!!
さらにこの世界遺産は見るのが大変。
アルプスの山中にあるわけで、橋も人が近づかない場所にあるのです。
鉄道に乗ることはできますが、あっという間に通り過ぎてしまうので・・。
ちなみにセンメリング駅からでは橋はみえません。。
建設者の記念碑があるだけです!!