TOP > ひさほゆうのリアルタイム世界遺産旅行ブログ

カテゴリー
ひさほゆうが独自の視点で世界遺産を解説!
最新コメント

 【[雑学]ヨーロッパ

世界遺産雑学117--世界最大の島に残る透き通った青--
2000.12.30
 
世界遺産雑学117

--世界最大の島に残る透き通った青--

見渡す限りの白銀の世界。
一年通しても春が訪れることがない氷の大地
ここに目に焼きつくほどの深い青が存在する。
そこは「世界最速の氷河」


イルリサット・アイスフィヨルド  デンマーク

世界最大の島。
「グリーンランド」
あまりにも辺境の地であるためほとんどの人が近寄らない場所。
ここは北極圏にある島で、北極からはわずかに250kmぐらい。
一番南の場所でもアラスカと同じ緯度にあるのである。
このためここには酷寒の寒さに閉ざされた土地が存在する。
四季などは無く、すべて雪の白さに覆われた島。
ありとあらゆる生物をその寒さで拒んできた場所だ。

実はこのグリーンランドを世界最大の島と呼ぶのには理由があった。
それは大陸と島の違いである。
地球にある土地は考えて見ればすべて島。
もちろん、すべての大陸は海に囲まれた台地であるからである。
このため、地学上海面上に表れている広大な地表を大陸とすることとなった。
ユーラシア大陸、アフリカ大陸、南北アメリカ大陸、ヨーロッパ大陸、南極大陸。
そして、大陸の中でも一番小さいオーストラリア大陸である。
このオーストラリア大陸より約1/3ほど小さいためにグリーランドは世界最大の島と呼ばれているのである。

ところで、注目してほしい点がある。
グリーンランドはデンマーク領だということを。
実はグリーンランドとはデンマーク本土より50倍以上広い土地を持つこの場所。
この広大な土地を手にした理由とはやはり植民地化である。
16世紀にグリーンランドという島が確認される。
しかし、当時は誰も植民地化にしようとは思わなかった。
それはあまりにも過酷な土地で先住民もほとんど住んでいなかったため利益になるようなものがなかったためであった。
そんな中、18世紀になると初めてゴトホーブに植民地が作られる。
その後デンマークが全島の覇権を手にすることとなった。
が、近代に連れていく中で各国は続々と独立する中、このグリーンランドは独立をしなかったのである。
それだけ、兵器もなく人口もなく、ただただ白い凍てついた大地しかなかったため。
こうして現在でもデンマーク領となっているのである。

このような厳しい環境に置かれたグリーンランドに残る世界遺産こそ、イルリサット・アイスフィヨルドである。
この場所には極寒という気候だからこそできた自然が存在する。
それこそ、「世界最速の氷河」である。
普通氷河と言ったらどのくらいで流れるものか知っているだろうか。
山に積もった大量の雪が自分の重さに耐えられなくなりどんどん氷に変わっていき、さらに降り積もった雪によりどんどん下に押し出される現象。
大量の雪が存在しないと流れていかないものである。
世界的に氷河の速度の平均は年間数m。
百年かけても海に辿り着かないものも存在するのである。
しかし、このイルリサット・アイスフィヨルドは違った。
年中凍てつく寒さが存在し、雪が降り積もる量が多かったのである。
その氷河の速さ。
「一日に19m」
一年で換算すると7km。
ほかの氷河の1000倍以上の速さを誇るのである。
このためイルリサット・アイスフィヨルドではみしみしと氷が流れる音が絶えず鳴り響く。
それも轟音を立てながら。
しかしその度の氷の裂け目から信じられないような青が見える。
純度の高い氷をさらに圧縮すると氷は白からディープブルーまでのさまざまな青を見せる。
あたかもそれは吸いこまれてしまいそうなほどきれいな色である。

しかし、こんなきれいな氷河も今危機に陥っている。
地球温暖化の影響である。
これにより徐々にではあるが、氷河の量が減少傾向にある。
さらに、現地に住む漁師の人は年々漁場を陸の近くへと移っているのである。
これは人類が残した大きな試練。
是非とも解決しなければいけない問題である。


このグリーンランドに残るイルリサット・アイスフィヨルドは世界でも最も稀な速度を持つ氷河として、またその景観の美しさにより2004年世界遺産に登録された。
ここは常に深い青と大きな異音が鳴り響く驚異の景観である。



ここ、すごく行ってみたい。
行って、その自然に圧倒されたいです。
しかし、グリーンランドってどう行くの?
もちろん人がいかないところは結構お金かかります。
さらに極寒。
見るのには並大抵の覚悟が必要です。