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 【[雑学]ヨーロッパ

世界遺産雑学143--ギルドが作り上げた世界一豪華な広場--
2000.12.30
 
世界遺産雑学143

--ギルドが作り上げた世界一豪華な広場--

街の中心にある大きな広場
そこはかつて交易により多大な繁栄を迎える
自治都市としてギルドが繁栄した場所
中世の面影が漂う不思議な空間


ブリュッセルのグラン・プラス  ベルギー

ベルギー王国、首都ブリュッセル
オランダ、ルクセンブルグとともにベネルクス3国と呼ばれた国ベルギーはフランスとドイツという大国に囲まれた立地条件。
このためにベルギーは様々な国から支配を受けることになる。
そんな中発展していく場所こそが自治都市であった。
この自治都市の中でもブリュッセルはその立地条件とともに発展を迎える。
文豪ヴィクトル・ユゴーが「世界一豪華な広場」と称するほどに。


ブリュッセルの街が形成されたのは10世紀のこと。
当時はほんとの小さな町でしかなく小さな城砦が建てられただけだった。
しかし11世紀に入ると街は次第に人口が増加していく。
この地がフランス、ドイツを結ぶ中継地として市が立つようになったためである。
この時からグラン・プラスの原型が出来上がっていった。
ちなみにグラン・プラスとは大広場の意味。
広場に市が立ちさまざまな交易品がここで売買されたのであった。
そして13世紀に入ると各業界がそれぞれの同業者組合を創設し始める。
彼らは自分たちの業界の発展のため同じ業種がそれぞれ締結し、情報交換の場を作ったのである。
まず最初は商人のギルドが形成、その後手工業ギルドができるといろんなジャンルのギルドが次々と出来上がったのであった。
このギルドの集団はそれぞれの集会場としてギルドハウスの建設を始める。
その場所こそ人が一番集まりやすいグラン・プラス。
大広場の周りには各ギルドハウスが建てられていったのであった。

そうした中15世紀に入るとこの地にはブルゴーニュ公国の都がブリュッセルに置かれることとなる。
都が置かれることによって、さらにヨーロッパの交通の要所としてブリュッセルはかつてない繁栄を迎えることになる。
特に毛織物工業の一大産地と交易地として栄え、ブリュッセルには自治都市へと変貌していく。
街の広場は今までより拡張し、広場に面している家を壊しそこに市庁舎を建設。
また、ギルドも自分たちの交易の活性化のためにこぞってグラン・プラスの周りに豪華な集会場を建設していくのである。
こうしてブリュッセルの街はかつてないほどの栄華を極めたのであった。

しかし、そこでブリュッセルと待っていたのが激動の歴史だった。
一つ目の出来事は隣国フランドル伯の公国乗っ取り計画である。
彼は自分の国を見せつけるためにグラン・プラスの星の家に自らの国の旗を掲揚した。
また、ブリュッセル近くまで軍を侵攻させたのであった。
これに対して、立ち上がった男がいた。
「セルクラース」である。
彼は嵐の深夜に星の家によじ登り自分たちの公国の旗の掲揚に成功。
そしてフランドル軍を敗退させてしまうのであった。
こうして彼は一躍街の英雄となる。
彼は現在でも語り継がれ星の家に銅像となって英雄の栄光をたたえている。

二つ目の出来事が大国フランスの侵攻である。
1695年、フランス・ルイ14世の命令によってフランス軍が侵攻。
グラン・プラスまで来た彼らは、抵抗する市民を一蹴するために3000発の砲弾と1200発の焼夷弾を広場に投下させた。
グラン・プラスは瞬く間に炎上。
市庁舎と星の家とわずかな壁を残しすべてが崩壊してしまうのであった。
こうして壊滅的となった街であったが、市民はあきらめなかった。
さまざまなギルドがグラン・プラスを再びかつての繁栄の姿へと復興を推進。
彼らの努力によってわずか4年で完全復活を果たすのであった。
この復興の際にギルド達は一つの建築様式を取り入れた。
それこそバロック様式。
昔のグラン・プラスには様々な年代に建てられたギルドハウスが多かった。
このため当時の流行である様式でたてられたため統一感が無く、雑然としていたのである。
しかし、この復興によりすべてが同じ時期に建て直されたためバロックという統一感のある広場へと変貌。
そこはまさしく世界で一番豪華な広場へと変貌したのであった。

現在、ブリュッセルのグラン・プラスには様々なギルドハウスが残る。
船頭、大工、油、パン、果物、仕立て屋、洋服、ビール、肉などなど
現在ではギルドハウスの機能は失われているが、建物にはそれぞれのギルドの旗と紋章が刻まれている。
そして、2年に1度広場に花の絨毯が置かれその時にブリュッセルの街は一番の活気を見せる。
それはまさしく過去の栄光のように。


ブリュッセルにあるグラン・プラスは壮麗な建造物で囲まれた広場であり、ヨーロッパ北部と代表とする商業都市として1998年世界遺産に登録された。
この地には今でもギルドの精神が残っているのである。




この広場、夜になるとライトアップされてとてもきれいなんです。
ぜひぜひ、見てみたい。
ベルギーも魅力的な世界遺産多いですし。
絶対行って見せます♪