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 【[雑学]オセアニア・ミクロネシア

世界遺産雑学147--特殊な世界遺産Vol.26--
2000.12.30
 
世界遺産雑学147

特殊な世界遺産Vol.26
「国際博覧会」

--南半球で行われた万博--

青空の中に一つの建物が横たわる
ここは南半球での技術を余すことなくつぎ込まれた
南半球の力を見せつけるために
それこそ南半球初の万博


王立展示館とカールトン庭園   オーストラリア

オーストラリア、第二の都市。
メルボルン。
人口は370万人も有し、人口100万人以上の都市では世界最南端。
気候もオーストラリアの南部に位置しているため四季があり、最も過ごしやすい土地とされている。
しかも、このメルボルンはある雑誌においてもっとも素晴らしい栄冠を手にしている。
The economist誌に掲載されている「世界で最も暮らしやすい都市」
この中で2002,2004年のNo.1の称号を手にしているのである。
それだけ、メルボルンには過ごしやすい環境、過ごしやすい風土、過ごしやすい都市が存在するのであった。
こんな素晴らしい都市にある一つの建物が存在する。
「王立展示館」
南半球はじめての国際博覧会(万博)の開催を成功させるために建てられた中心的建物。
そこにはオーストラリアすべての威信が込められた。
南半球の力を見せつけるために。


過去、北半球でしか行われなかった国際博覧会。
パリ、ロンドン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ウィーンと各国の主要な都市で万博は行われたのである。
この万博には大きな目的があった。
各国の技術や知識を交換する場として造られたのである。
このため、開催国は自国の技術がいかに優れているかをアピールするにはとてもいい環境であった。
また、有名ではない国にとっては自国を知ってもらえるいい機会。
日本は明治・大正時代に行った万博において芸妓が接待役を務め浮世絵などを展示したのである。
当時の日本は世界的に全く知られていない国であった。
この文化は芸術家の中で大きな影響を与えあのモネも日本の影響を受けた一人とされている。
このように万博とは各国の国の威信を賭けた一大イベントであった。
第4回パリ万博においてフランスはエッフェル塔を建てるという一大事業を行うほど国のメンツがかかっていたのである。

こうして、1880年にある場所において万博が開催されることが決定。
場所はオーストラリア・メルボルン
南半球では初めての万博開催として、また大航海時代の植民地としてはアメリカに次いで開催されることが決定したのである。
オーストラリアにとってもこの万博は一大イベントであった。
特にヨーロッパにとってはもと植民地であった場所はあまり発展していないと思われていた。
さらに、北半球に比べて南半球の文明が劣っていたのである。
このイメージを払しょくするにはとてもいい機会であったのだ。

こうしてオーストラリアは一人の建築家にメイン会場の建物建築を依頼する。
建築家の名は「ジョセフ・リード」
オーストラリアの最も有名な建築家でメルボルン市庁舎を建てた人物。
彼はこの一大事業に多種多様な建材を使用。
レンガ、木材、鋼鉄、粘板岩などなど。
しかも、ヨーロッパの多種多様な建築様式を融合することを目標とした。
イタリアのルネサンス、フランス・ドイツのロマネスク、ギリシアのビザンティンなどを取り入れたのである。
それは世界においてどこにもない建築様式となり、大陸ヨーロッパ風建築のさきがけとなったのであった。
また、その周辺には庭園が作られた。
26ヘクタールという巨大な土地には博物館などが並び、オーストラリアの中でも有数の巨大庭園が建設されたのである。
それはまさに国会の威信をかけた一大プロジェクトであった。

この1880年に行われた万博は大成功をおさめ、オーストラリアの力を世界に示す結果となった。
その後、王立展示館は余りの素晴らしさからオーストラリアの国会議事堂として使用されることとなる。
それは首都移転が計画され、キャンベラへ首都が移転するまでこの地で政治が行われたのである。
すべてはオーストラリアの技術の結晶がこの素晴らしい建物を造り上げ、オーストラリアの人々の心の拠り所となったのであった。


この万博のために作られた王立展示館とカールトン庭園は産業や貿易の振興などを目的とした国際博覧会を象徴する建築として、またオーストラリア初の文化遺産として2004年世界遺産に登録された。
オーストラリアの技術の粋は万博の象徴として変化したのである。




雑学は残り3回です。
今回はどうでしたでしょうか?
万博の象徴。
同じ理由で、大阪万博の太陽の塔を世界遺産にしようとする動きがあります。
ただし、万博としての世界遺産が登録された以上、それ以上の魅力を見せなければいけないのが世界遺産です。
観光のための世界遺産という概念があるアジアとしては保護計画をしっかり行ってから推薦していただきたいです。
世界遺産になるのほんと難しいですよ。