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 【[雑学]オセアニア・ミクロネシア

世界遺産雑学32--自然を守るために考えた手段--
2000.12.30
 
世界遺産雑学32

--自然を守るために考えた手段--

「聖なる山」
ニュージーランドのにある山をそう崇める部族がいた。
マオリ族
かれらは土地を守るために土地を寄贈したのである。

トンガリロ国立公園  ニュージーランド

トンガリロ
南風の流れる山の意味を持つ、ニュージーランド北島に残る3つの山の
総称。
インド・オーストラリアプレートと太平洋プレートの衝突により圧縮
された岩が地表に出た土地だ。
その中でもひときわ際立っている山がある。
それがルアペフ山。
噴火している火口を意味するように活火山で有名な山。
火山の影響で溶岩流が流れた殺伐とした風景に、エメラルドグリーン
の火山湖が美しい姿を見せている。
対象的な風景のコントラストが見られる場所だ。

しかし、この土地に開拓の危機が訪れる。
時は19世紀、ニュージーランドにイギリス人が入植。
彼らはこの土地に住む原住民マオリ族に接触する。
そしてマオリ族はイギリス人の策略にはまり自分たちの土地を次々と
売却していったのである。
こうして、トンガリロは開拓の対象地となっていった。


これを見ていたマオリ族首長が立ち上がった。
土地は神々からの授かり物と考えるマオリ族にとって、開拓は許され
ない事であった。
このため、マオリ族長テ・ヘウヘウ・ツキノ4世は土地を守るためにあ
る決断をする。
「この地をニュージーランド全国民の所有する公園にする」 と宣言。
これによりニュージーランド政府が動き、国初の国立公園に指定され
る事になったのである。

しかし、同時にマオリ族にとってはこの地を手放す事も意味していた。
自然を守るために彼らのとった行動は今日でも語り継がれている。


トンガリロ国立公園。独特の生態系を持ち景観が優れている事から
1990年自然遺産に、先住民マオリ族が守り抜いたことから1993年文化
遺産として世界遺産に登録された。




住民が自然を守り抜いた例の世界遺産です。
守り抜くためには相当の決断が必要だったのでしょう。
自分でも自分の土地を手放す事に抵抗があります。
マオリ族はかなりの勇敢な心を持っていた部族なんですね。