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 【[雑学]ヨーロッパ

世界遺産雑学36--美しき塔の街--
2000.12.30
 
世界遺産雑学36


--美しき塔の街--


ここには数々の塔が立っている。

天に届くように。

人々は塔の高さを競ったのである。

そして、いつしか美しき塔の街と呼ばれるようになった。


サン・ジミニャーノの歴史地区  イタリア



イタリア、トスカーナ州。

フィレンツェ、シエナにかかるフランチジェーナ街道。

ローマ、アルプスを結ぶカッシア街道。

この2つの街道が重なる場所。

それがサン・ジミニャーノである。

イタリアの主要都市を結ぶ重要な通商路であったため、経済が発展。

貴族たちが富を手にしたのである。


こうしたなか、中世イタリアでは政権が2分する状態となっていた。

ローマ教皇を支持する「教皇派」

神聖ローマ帝国を支持する「皇帝派」

この二つの派閥が存在し、都市や市民までもが対立するようになる。

もちろんこのサン・ジミニャーノも例外ではなかった。


こうして貴族たちは対立する派閥から身を守るために塔を建て始めた。

しかも、権力を見せ付けるように高く、高く塔を積み上げていったのである。

多いときには72基もの塔が乱立する。


しかし、困ったのが街の当局。

各派閥の権力の誇示が激しさをまし、誰もが高い塔を望んだ。

それは公共の利益がまったく省みられることはなかったのである。

このため、街は条例により町にある最大の塔よりも高い塔は建てては


いけないという規則を作ったのである。

それは、ポポロ宮のグロッサの塔。

高さ54メートルの塔である。

これにより、人々は高さをあきらめ装飾に力を入れていったのである。


こうして、サン・ジミニャーノはブドウ畑やオリーブ畑に囲まれた美しい塔

の街と呼ばれるようになった。

そしてこの景観と歴史的建造物により1990年世界遺産に登録された。


いくつもの塔が立ち並ぶ街。

のどかな風景の中に歴史的建造物。

歴史に紛れ込んだ街。

いつか歴史に紛れ込んで・・・。