--奇跡の涙--
そこはドイツ南部のど田舎。
見渡す限りの丘と草原・森があるばかり。
しかし、突如この街が有名になったのである。
それは奇跡。
ヴィースの巡礼教会 ドイツ
1738年、ヴィースの村での出来事。
村には毎日のように同じ生活を続けていた農婦のマリアがいた。
その日は屋根裏部屋の掃除をして時である。
マリアは埃をかぶった、キリスト像を見つけた。
それは、鞭を打たれ十字架にはりつけられたキリストの像。
これを見たマリアは家にキリスト像を持ち帰り毎日祈りをささげたのである。
それから数ヶ月たったある日のこと。
奇跡は起こったのである。
マリアは朝、いつもと同じようにキリストに祈りを上げようとキリスト像を見るといつもと
様子が違う事に気づいた。
そして、像に近づくとなんとキリストの目から涙の雫がこぼれ落ちていたのである。
木で出来ている像からはありえない涙が。。
これにびっくりしたマリアは町中の人を呼んだのである。
しかし、これを見れたのは一部の人。
涙は瞬く間に蒸発してしまったのである。
けれども、噂は瞬く間に世界中に広まった。
ヴィースの村で奇跡が起きたのだと。
こうして、何もなかったのどかな村は突如として巡礼者が押し寄せる事になったのである。
巡礼者が多くなって困ったのは村の人。
なぜならば、教会というものがなかったからである。
このため、村に教会を作る事を決定した。
そして、兄弟の建築家、ドミニクス・ツィンマーマンとヨハン・ブプティスト・ツィンマー
マンに依頼したのである。
2人の建築家は奇跡の教会としてさまざまな工夫を取り入れた。
まず、外見と内面。
草原の丘に立つ教会として外見は風景に合うように質素。
普通の何もない教会のようだ。

しかし、中に入った瞬間に景色が一変する。
あたかも天国に来たかのような豪華な装飾。

それは、下から上に行くにつれどんどん豪華になっていくのである。
天井にはすべてを埋め尽くすフレスコ画。
もちろん中心にはキリストが描かれているのである。

さらに、それを神聖化するため、天窓があらゆる方向にあり、必ず太陽の光を教会の薄暗い
中に差し込むような仕組みとなっている。
こうして、人々を無限の世界へと誘い込んだのである。
ヴィースの奇跡を起こしたキリスト像を安置するこの教会は1983年ドイツ・ロココ様式の傑
作として世界遺産に登録された。
それは奇跡の賜物であった。
感動した世界遺産の一つです。
外見と内面のギャップがすばらしい。
中の装飾といったら、この世の物とは思えないほどすばらしいものでした。
ほんとに遺跡的にも奇跡の場所です。