--栄光の玉座--
神聖ローマ帝国
この国の王を目指すものはここにあこがれた。
聖堂の中にある椅子。
写真21
これに座ったものには権力を約束されたのである。
アーヘン大聖堂 ドイツ
時は8世紀。
このアーヘン大聖堂の元となる宮廷礼拝堂が完成した。
この礼拝堂を建てた人物こそ中世のなかでもっとも大きい権力を持った人。
「カール大帝」
フランク王国の全盛期を築いた人物である。
フランク王国はローマ帝国分裂後、メロヴィング朝クローヴィスが建国した国。
途中、カロリング朝が王権を握りドイツ、フランス、イタリアの国土を手に入れたのである。
そのなかでもカール大帝は教皇に教皇領を提供したピピン3世の息子。
その功績から、西ローマ帝国の冠を教皇から与えられたのである。
そして、フランク王国分裂後ドイツの地には神聖ローマ帝国が建国された。
その建国者オットー1世はローマ教皇より戴冠する場所にこのアーヘンを選んだのである。
カール大帝が愛したこの街。
それは、この国がカール大帝のように大きくなるように願ったからである。
こうして、神聖ローマ帝国歴代の王はこのアーヘンで戴冠式を行った。
大聖堂の中にある大理石の椅子に座った瞬間に権力が認められたのである。
こうして、アーヘンの名は世界に渡ったのである。
じつは、このアーヘンの大聖堂は教会建築の中で変わった形をしている。
それは円形。
建築上は集中式と呼ばれている構造。

基本的に教会の構造は3種類に分類されている。
初期の四角型。(バシリカ型)
西欧の十字架型。(ラテン十字型)
東欧の正十字型。(ギリシア十字型)
しかし、このアーヘンはどの部類にも入らない。
だからこそ、他の教会の雰囲気とは異なり、戴冠式に使用される事によって皇帝とは天の人
物と思わせたのではないか。
このアーヘン大聖堂はカロリング・ルネサンスの最高傑作として、また後世に多大な影響を
与えた教会として1978年世界遺産に登録された。
そして、大聖堂の中心には今でも戴冠式に使用された大理石の王座が残っているのである。
このアーヘンだけは教会として雰囲気がぜんぜん違いました。
なんというか他の教会は神秘的なのですが、このアーヘンは圧迫的です。
皇帝に従わなければと思わせる場所です。