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 【[雑学]アジア

世界遺産雑学52--オリエントに輝く王国--
2000.12.30
 
世界遺産雑学52

--オリエントに輝く王国--

この国はかつて大きな軍事力を手に入れた。
それはオリエントの軍事バランスを大きく変化させたのである。
オリエント最強といわれるほどに。
その王国こそ
「ヒッタイト」

ハットゥシャ  トルコ

トルコ中央部、アナトリア地方
標高1000mの高原地帯にハットゥシャは建てられた。
1.3km×2.1kmの街
外には約8kmの二重の城壁が立てられたのである。
ここは絶えず水が枯れない王都であった。

こんな高原に首都を建てた王国こそヒッタイトである。
もともとヒッタイトはオリエントの中でも小国の一つであった。
しかし、この王国が突如としてオリエント最強の軍事力を手にする事になる。
それは、世界で初めて使われた金属
「鉄」
の精製法を手にしたからである。
紀元前15世紀ごろ、当時の最先端の金属は青銅であった。
もちろん世界のすべての国は青銅を使っていた。
しかし鉄は青銅を上回る強度を誇っていたのである。
こうして、鉄を武器にしたことにより強大な軍事力を得たのである。
オリエント三大強国、エジプト・バビロニアと肩を並べるほどに。
ここからヒッタイトの快進撃が始まる。
バビロニア王国、ミタンニ王国の滅亡
エジプトとの互角に戦えるまでとなったのである。

現在、ハットゥシャには建物は残っていない。
ただ礎石が残るのみ。
3500年間アナトリアの風が吹き抜けていったのである。
それは、ヒッタイトが突如として消滅した証。
地中海の武装集団「海の民」に滅ぼされたためといわれている。
しかし20世紀このハットゥシャで世紀の大発見があった。
およそ2万枚に及ぶ楔形文字の書かれた粘土板の発見である。
楔形文字はすでに解読されている文字であった。
このため、すべての文章が解読されたのである。
宮廷内の人間関係、組織図、宗教、公的な契約、書簡、そして王国の歴史
この中でも歴史の重大な事実を示す2つの出来事が判明した。

一つ目はツタンカーメンの後継者。
エジプトはツタンカーメンの死後ファラオをヒッタイトから要請したのである。
それはツタンカーメンの妻アンケセナーメンがヒッタイトに送った書簡から判明した。
こうして、ヒッタイトは王子をエジプトに派遣したのである。
両国の平和を願ったため。
しかし、王子はエジプトで暗殺されてしまった。
もしエジプトにヒッタイトの王が生まれていれば歴史は今と違ったのかも知れない。

二つ目は戦いの結果。
ヒッタイトとエジプトはオリエントの覇権を得るため絶えず争いが絶えなかった。
そして有名な戦いがカデシュの戦い。
エジプトの資料からは戦いはエジプトが勝利しヒッタイトの王女を嫁がせたと残っている。
しかしヒッタイトの文書からは逆の歴史が書かれていた。
エジプトは戦場から逃げ出し壊滅状態となったと。
こうして、エジプトは歴史が塗り替えていた事実が判明したのである。


古代世界におけるもっとも重要な国
ヒッタイト
武力に優れ、鉄器を操った王国。
ハットゥシャはそのオリエントの歴史をつぐみ王国の繁栄を伝える場所として1986年世界遺産に登録された。




アナトリア地方の高原は気候が非常に厳しいところで有名です。
変な感じがしますがトルコって雪が降ります。
それもそのはず、日本の東北地方と同じ緯度にあるのですから。
また、ここの場所を描いたマンガがあります
「天は赤い河のほとり」
ヒッタイトの王国を描き、フィクションですがうまく歴史に合わせて描かれてます。
高校時代にはまったマンガの一つ。
それ以来、行かなければならない場所となってしまいました。