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 【[雑学]ヨーロッパ

世界遺産雑学56--特殊な世界遺産Vol.4--
2000.12.30
 
 世界遺産雑学56

特殊な世界遺産Vol.4
「産業遺産、ポンプ」

--水を制御したもの--

オランダは低地にあるため絶えず水との戦いだった。
そこで登場したのが風車。
風力により水を水面へと押し上げたのである。
しかし時代は新たなる物を生み出した。
蒸気機関の発明である。

D・F・ウォーダ蒸気水揚げポンプ場  オランダ王国

国土の4分の1が水面よりも低地にあるオランダ
この土地は絶えず水に沈む災害の土地であった。
人々はこの水に耐えながら生活していたのである。
そこで人々は画期的なものを開発した。
それは風車での排水システム。
風の力を利用し水との戦いに勝利したのである。
こうして、オランダには1万基もの風車が建てられた。

しかし、19世紀後半ヨーロッパ中である革命が起きた。
イギリスから始まった革命
「産業革命」である。
産業革命は瞬く間にヨーロッパ中の工業を変化させていった。
それはある技術により、劇的な変化となった。
これこそ水蒸気の力を使った蒸気機関の技術である。
こうしてすべての機械に蒸気機関が搭載された。
鉄道、船、工業用機械などのあらゆる機械の中に。
そしてオランダにも産業革命の波が襲ってくるのである。

オランダ人はある技術を水害の排水に応用できないかと考えた。
それは炭鉱に使用されている蒸気機関
水の吸い上げポンプである。
炭鉱は地下に掘っていくため絶えず水が流れ底にたまっていく厄介なものであった。
問題を解決するために1712年ニューコメンによって蒸気機関を用いた水の吸い上げポンプが発明された。
この技術水揚げポンプをオランダ人はそのまま水害の排水用に使用。
こうして、オランダには沢山の水揚げポンプが設置され低地の排水能力を高めたのである。

そして、1916年オランダ北部ゾイデル海沿岸レマーにヨーロッパ最大の蒸気水揚げポンプ場の建設が始まった。
それはオランダが今まで積み重ねたポンプの技術のすべてをつぎ込んだ巨大プロジェクト。
建築家D・F・ウォーダが監督となり作り上げられた。
こうして4年後の1920年に水揚げポンプ場は完成したのである。
これによりレマーの街には水害からの恐怖が消え去った。

しかし、技術革新はものすごいスピードで行われた。
あっという間に水蒸気の時代が終わったのである。
水蒸気からディーゼルへと。
ディーゼルから電力へと。
そのたびにオランダの水揚げポンプは改良され続けられた。
現在オランダには電力式のポンプ場が1600箇所にも上る。


この蒸気エンジンを使った排水設備D・F・ウォーダ蒸気水揚げポンプ場は、水害に悩むオランダの技術の集大成として1998年、世界遺産に登録された。
ここは当時の世界の技術の模範でもあったのである。




前回の雑学54に続いた世界遺産でした。
機械の世界遺産。
なんとも面白い世界遺産です。
たぶん、見に行ってもこれが世界遺産ってなること間違いなし!!
だって機械があるだけですから。。
これを読んでいけばそんな思いをせずにすむでしょう。
また、この雑学54・55に関連した世界遺産がまだあります。
次回も特殊な世界遺産としてその世界遺産を書きます。
それもまたオランダ。
オランダは特殊な世界遺産だらけです。