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 【[雑学]アジア

世界遺産雑学58--東洋と西洋が混ざる400年支配された街--
2000.12.30
 
世界遺産雑学58

--東洋と西洋が混ざる400年支配された街--

ヨーロッパにいると錯覚する街
そこはアジアにあるにもかかわらず。
大航海時代から支配され続けた歴史のある場所
東西が出会った街

澳門(マカオ)の歴史地区  中国

時は16世紀初期。
世界は大航海時代の真っ只中であった。
ヨーロッパの列強は我先にと利権を求め世界を支配していったのである。
そんな時、中国に着いた一つの国があった。
エンリケ航海王子、ヴァスコ・ダ・ガマなど喜望峰やインドの航路を次々と発見したポルトガルである。
ポルトガルは中国の明にたどり着くと活動の拠点を求めた。
それこそマカオである。
実は、マカオの名前の前に中国の名前があった。
それは阿媽港(Amagong)という呼び名。
この呼び名をよく見てほしい。
そう、マカオの名前に良く似ているのである。
中国人が発音していた名前をポルトガル人が聞いたままつけた名前マカオ(Macau)と名づけられた。

こうしてポルトガル人に占領された街はアジア一の貿易覇権を握っていく事となる。
それは日本に近いという場所にあった。
当時、中国の生糸と日本の銀の交易が本格化した。
この交易においてもっとも主導権を握ったのがポルトガル。
それは、中国の生糸の産地に最も近い海であり、日本とも交易のしやすい土地であるがえ。
アジアの中でもっとも利益の出る貿易でもあった。
また、この時期メキシコと日本において銀山が発見された。
これが大量に東アジアに流出し空前の好景気に沸いたのである。
こうして、ポルトガルに占領されたマカオは黄金時代を迎える事になる。

しかしそんな時代は長く続かなかった。
それこそオランダの進出である。
オランダは日本の江戸幕府に働きかけ自分たちだけが交易できるように仕向けたのである。
が、ここで一つ疑問が残る。
後発的なオランダがなぜ日本と取引できたのか。
これにはヨーロッパで起きた革命に原因があった。
革命の名は「宗教革命」
プロテスタントが始まり、カトリックの信者が極端に減ったことがこの貿易に大きく影をおとすのである。
ローマ皇帝はカトリックの信者が減る事をおそれ、また大航海時代であったため植民地の住民をカトリックに改宗させる事を命ずる。
これにより日本にもフランシスコ=ザビエルが訪れた。
日本のキリスタンの始まりでもあった。
しかし江戸幕府はこのキリスタンを恐れた。
それは平民も貴族も平等であると説いたため。
格差社会を推奨し将軍を敬うのには邪魔な存在でもあった。
ポルトガルはまさにすべてがカトリックの国。
幕府としてはおもしろくなかったのである。
そんなときにオランダがやってきた。
このオランダはすでにプロテスタントの国であった。
プロテスタントは布教という政策をとっていなかった。
このため、布教活動する宣教者などは一人も訪れなかったのである。

こうして、江戸幕府はポルトガルの日本来航を禁止した。
またマラッカ海峡をオランダが占領したのである。
この2つのことによりポルトガルは覇権をうしなったのである。
マカオの栄光の時代は終わりを告げた。

この後マカオは中国との交易に依存しなければならなかった。
それは文字通り支配ではなく中国・清朝に頼りきっていた。
それだけマカオには力が無かったのである。
さらに、マカオに追い討ちをかける出来事が起こった。
イギリスの進出である。
アジアの広大な権力を得ようとイギリスは中国に戦争を仕掛けた。
「アヘン戦争」である。
この戦争に勝利したイギリスは香港を手に入れ、すべての貿易を集中させた。
マカオの貿易港としての終末であった。

現在、マカオにはヨーロッパの町並みや中国の神々を祀る廟が点在する。
これは静かなる繁栄の歴史。
その後のマカオはカジノとして歴史を歩むこととなった。
そして、1999年12月20日マカオはポルトガルから中国へと返還されたのである。
400年以上の支配が終わった瞬間であった。

マカオ歴史地区。ここは西洋と中国の様式が融合し、中国社会の変革をもたらす契機であったため2005年世界遺産に登録された。
返還されてから6年後のことである。





ついこの前まではポルトガル領であったところです。
実はこの場所、他の世界遺産と大きく結びついている場所でもあるのです。
日本とメキシコの銀山の発見とは
石見銀山(2007年世界遺産登録予定)
グアナファト鉱山
の2つの世界遺産を現し、宗教改革の部分でも世界遺産はあります。
いろんな世界遺産とつながっています。

世界遺産とは一つ一つの点ではなく、複雑に絡まった線でもあるのです。