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 【[雑学]中南米

世界遺産雑学67--特殊な世界遺産Vol.9--
2000.12.30
 
世界遺産雑学67

特殊な世界遺産Vol.9
「プランテーション、産業学」

--コロンブスがもたらした富--

新大陸の発見
コロンブスが再び新世界へ渡るときにあるものを持ち込んだ
それはその後の新大陸で大きな富をもたらす事になる。
「砂糖」である。

トリニダードとロス・インヘニオス盆地  キューバ

ロス・インヘニオス
それは「砂糖工場」という意味を持つ。
文字道理,砂糖工場の盆地
砂糖の世界遺産である。

時は大航海時代。
コロンブスはとうとう新大陸「アメリカ大陸」を発見した。
そしてヨーロッパに戻り世界に新大陸の存在を伝えたのである。
その後、再びスペイン王の命により新大陸に出かけていった。
スペインの領土を増やすために。
その際、コロンブスは沢山の苗木を積み込んだのである。
新大陸でもヨーロッパと同じものが栽培できるように。
この中に新大陸には存在せず、今のアメリカ大陸の文化を支えるようになるものが持ち込まれた
それこそ
「サトウキビ」

もともとニューギニア産のサトウキビであったが、カリブ海では原産国以上の発育を見せる。
これによりキューバでサトウキビ栽培と精糖が始まったのである。
砂糖のプランテーションの始まりである。
こうして砂糖の一大生産地として選ばれたのがロス・インヘニオス
それは肥沃な土地に加えて、中部の町トリニダードに近かったためである。
この盆地には56にもおよぶ砂糖工場が建てられた。
そして砂糖を大量生産し輸出したのである。

この砂糖のプランテーションによりヨーロッパ人は巨万の富を得る事となる。
そして、この巨万の富で自分たちの宮殿を作ることを決意。
その宮殿はトリニダードに建てられた。
バロック様式の壮大な宮殿。
今でもトリニダードでは砂糖のお金で作られた宮殿が数多く残る。
それは当時の農園主が築いた栄光を物語っているのである。


しかし、栄光の中にも影がある。
それは砂糖畑で働いた労働者。
最初は現地の人が労働者として借り出された。
しかし、強制労働と疫病により人口が急激に減ってしまった。
この現象に困ったのがヨーロッパ人。
自分の富をえるためにどうしても労働力が必要であった。
そして悩んだうえある決断を下す。
労働力の輸入である。
労働力の豊富なアフリカ大陸から人間を運ぶ事を選んだのである。

アフリカにある世界遺産「ゴレ島」(雑学28)
ここには新大陸へ送られた奴隷の輸出港。
その見果てぬ世界に待ち受けていたのは過酷な強制労働であった。
炎天下の中で長時間のサトウキビの刈り入れ
カリブ海の気候の中で行われた工場での精糖
すべてはアフリカ人の手によって行われたのである。

もちろん逃げ出す事が出来ないようにも考えられた。
盆地の中に立つ高さ44mの見張り塔
労働者の仕事を監視し、反乱や逃亡をいち早く見つけるために建てられたのである。
こうして、アフリカ人はキューバの人口の1/4にわたるほど輸入され続けたのである。
人権も無い、ただ安いお金で売られた彼らに待っていたのは地獄であった。



トリニダードとロス・インヘニオス盆地はプランテーションに大きな影響を与えたとして、また18~19世紀カリブ海の建築が残る街として1988年世界遺産に登録された。
現在、トリニダードには宮殿、ロス・インヘニオスには工場の廃墟が残る。
栄光と地獄の表裏一体の世界遺産を見せているのである。




砂糖
この産業が世界遺産となる、なんとも面白い世界遺産でしょう。
実はプランテーションの世界遺産まだまだあります。
要するに砂糖だけじゃないです。
近々それらも書いていきます。
しかし、産業遺産ですが暗い過去の方がどうしてもメインになってきます。
それは農業を支えたのが奴隷という事実。
世界遺産は奴隷を売った王朝、奴隷の輸出港、奴隷の働き場所すべて世界遺産のなっています。
世界遺産、それは暗い過去も繋がっているのです。