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 【[雑学]中南米

世界遺産雑学100--地球最後の秘境--
2000.12.30
 
世界遺産雑学100

--地球最後の秘境--

そそり立つ平らな山
周りには密林のジャングル
ほとんどが前人未踏の地
人を寄せ付けない地球最後の秘境


カナイマ国立公園  ベネズエラ・ボリバル共和国

ギアナ高地
ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、仏領ギアナ、ブラジルに渡る広大な高地。
この中心にあるのがカナイマ国立公園である。
その広さは四国の約1.6倍。
そしてカナイマ国立公園は地球の中でもっとも奇妙な景観を持っている。
誰しもが目の前にある風景が本物かを疑ってしまうほどの。
それこそテーブルマウンテンである。
分かりやすく言うと真っ平らな山。
日本の山とは全く違った形状。
それは標高2000~2600mにも達する広大な山である。

では、何故このような平らな山ができあがったのか。
それは人類が生まれるさらに前の前。
ほ乳類も恐竜もいない、シダ植物と珊瑚などの無脊椎動物が世界を支配した時代。
4億年前の地球の記憶
もともとここは平らな大地であった。
それが長年の風雨により大地が浸食される。
しかし唯一浸食されない場所があった。
世界最古の花崗岩である。
17億年前に形成されたこの花崗岩はもっとも硬質な岩であった。
このため、この花崗岩だけは浸食されず周りの柔らかい地質だけが風化されていったのである。
この硬質な花崗岩は平らで形成されたものであった。
こうして平らな花崗岩だけが残りテーブルマウンテンができあがったのである。

また、このギアナ高地にはもう一つテーブルマウンテンが形成される要因があった。
大陸の移動が無かった事である。
4億年前はまだ地球上の大陸は一つであった。
それこそパンゲア大陸である。
その後大陸は5つに分割された。
大陸の移動は地震、隆起、沈降など様々な地質の現象が伴う物であった。
この現象は昔の地形を変形させた。
たくさんの過去の景観が失われたのであった。
しかし、このギアナ高地だけは違った。
ギアナ高地は運良く大陸移動の回転軸であった。
これによりこの場所だけほとんど移動せずに4億年もの景観を今に残しているのである。

こうして形成されたカナイマ国立公園の中でももっとも大きいテーブルマウンテンがアウヤン・テプイ山である。
この山は地元の人があまりの巨大さに恐れた山。
このため悪魔の山-アウヤン・テプイ-と呼んだのであった。
広さ700km2。
卓上の山が東京都の1/3の広さにまたがっているのである。
またそれ以外にこのアウヤン・テプイ山が世界中の注目を浴びる物がある。
それこそ滝。
世界最落差を誇る滝で、その落差979mにもなる。
「アンヘラの滝」である。
通称エンジェルフォール。
平らな山に降り注がれた雨水は一カ所に集まり、その断崖絶壁に導かれる。
そして高さ約1kmのところから一気に落とされるのである。
あまりの高さにより落ちた水は地上にたたきつけられる前にすべて水しぶきに変わってしまう。
このため地面には水がたたきつけられることが無く滝壺が出来ないのである。

この奇跡のような滝を発見した人はアメリカ人飛行士である。
彼はある物を探し求めていた。
エル・ドラド
黄金郷である。
一度は金鉱脈を発見した彼であったがあまりにも複雑な地形のため同じ場所を見つける事が出来なかった。
このとき偶然にも頂上から煌々と落ちてくる滝を見つけたのであった。
彼の名は「ジミー・エンジェル」
エンジェルフォールとは見つけた人の名前からとられた名前。
それがスペイン領でスペイン語を話した原住民によりスペイン語名アンヘラの滝と呼ばれるようになったのである。

また、このカナイマ国立公園には様々な動植物が生息する。
植物だけいうとなんと日本に生育する植物よりも多いのである。
しかも、これだけではなくその75%を占めるものがこのギアナ高地にしか生育しない植物である。
これが世界最後の辺境の地を呼ばれる訳。
通常の場所と隔離され独自の生態系を生み出した足跡が残っているのである。
もちろんテーブルマウンテンの頂上のみにしか生息しない動植物もいる。
実はテーブルマウンテンには動植物が住めない環境があった。
すべてが岩という現実である。
しかし、その岩に苔などの菌類が生息し長い年月をたどり土が形成。
この土に多種多様なランが生育したのであった。
テーブルマウンテンの上と下には全く違った生態系が存在する。
それは鳥しか行くことが出来ない絶壁の壁により動植物が移動できない現実があったのである。

現在、ここに挑戦する登山家が多くなってしまった。
これにより地上にしかいない種子や菌類が持ち込まれてしまった。
カナイマ国立公園は外来種の驚異におびえているのである。


カナイマ国立公園
テーブルマウンテンという独特な山、それが世界最古の岩、滝などが生み出す景観が綺麗なこと、絶滅の危機に瀕している動植物が生育していることから1994年世界遺産に登録された。
ここはほとんどの人が訪れたことのない地球最後の秘境である。




世界遺産雑学 祝100回!!
もう書き始めて半年以上になりますね。
100回記念としまして私がもっとも思い入れがある世界遺産を紹介しました。
カナイマ国立公園から私が世界遺産というものを知るきっかけになりました。
高校2年生、9年前。
何気なく見ていたテレビ。
たまたまTBSの世界遺産がやっていました。
いつもなら何となく見ていた番組でしたが、この場所だけは違いました。
もう、涙がとまりません。
いかに自分が小さい存在なのかを思い知らされる場所。
それだけ広大で荘厳でこの世の物とは思えない景観がそこには有りました。
私のすべてが変わった場所です。