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 【[雑学]中南米

世界遺産雑学101--地表に刻まれた謎の絵--
2000.12.30
 
世界遺産雑学101

--地表に刻まれた謎の絵--

植物がそだたない石だけの平原
見渡す限り何もない
しかし、パイロットの中でこの場所は噂になる。
「奇妙な絵が大地に描かれている」と。


ナスカとフマーナ平原の地上絵  ペルー

ペルー、中南部。
ナスカ、フマーナ平原。
ここは植物も動物も住みつかない最悪な平原。
こんな誰も寄りつかない場所には壮大な地上絵が描かれている。
大きい物で300m。
これらの絵が70も大地に刻まれているのである。
しかし地上からはただの溝しか思わない。
上空に行かない限り地上絵と分からないのであった。
このため長く発見されることは無かった。
飛行機の誕生までは。

20世紀初め、この場所がたくさん人物によって有名になる。
それこそ航空冒険家。
かれらは飛行機に乗り、秘境など様々な場所を訪れたのである。
その中にナスカ平原を訪れる物もいた。
こうして地上絵は発見されることとなる。
地上絵はコンドル、ハチドリ、イヌ、宇宙飛行士など様々な形が存在し、見た目によってその名前を付けられた。

ここで、地上絵に関して4つの疑問が残る
どのようにしてこの何も無い平原に地上絵を残すことが出来たのか。
どのようにして正確な絵を300mの大きさにわたって描けたのか。
どうして、地上に描かれた絵が1300年間も残されたのだろうか。
なぜ、このような地上から見えない地上絵が造られたのか。
まず、この疑問を一つずつ答えていこう。

まず地上絵の残し方であるが、実は溝である。
平原にはたくさんの砂利が覆い被さっている。
その砂利を取り除くことによって地上絵は描かれているのである。
また、この場所には大きな特徴があった。
それは地表の色と覆い被さっている砂利の色が違うことである。
地表の色は明るい黄土色に対して、その上には長年に渡り空気に触れて酸化した暗い赤の砂礫が覆い被さっているのである。
こうしてちょっと上の砂礫をどかすだけで簡単に地上に違う色が表れるのであった。

次にこの大きな絵を目印のない平原でどのように正確に描いたかは一人の研究者が解き明かした。
ナスカにその生涯を捧げた研究者。
マリア・ライヘ
彼女はある一つの仮説に達する。
小さな絵をまず紙に描き、中心に一本の杭を打つ。
その杭から紙に書いた絵の距離を測り、その距離をロープなどで比例させる。
そうすると小さな紙に書いた絵が巨大な絵となって地上に現れるのであった。

そして3つ目の疑問1300年もの歳月にわたり地上絵が残った訳。
普通、1300年の年月が流れれば植物の成長や動物の移動、気象環境により大地は変形してしまうものである。
しかし、この場所は1300年前と全く同じ姿をここに留めている。
それには大きな原因があった。
気象条件である。
ナスカ平原の年間降水量、10mm以下。
これは一年間で一回小雨が降る程度である。
ようするにほとんどこの場所で雨は降らない気候であるということ。
このため、植物は全く育たない。
動物も水が無ければ生きていけないためこの場所には誰一人近づかなかったのであった。
こうして1300年にも渡り地上絵は消えずにここに痕跡を残している。

最後の疑問として誰も見れないこの地上絵を描いた理由。
宇宙人が着陸するための目印など諸説有るが実際にはいまだに不明である。
一番有力な説は死者に捧げるための絵だとされている。
この地上絵を描いたのは研究の結果ナスカ文明ということは判明した。
そしてナスカ文明の土器から興味深い絵が見つかった。
気球である。
最新の研究では当時の物を使って気球が完成出来ることが分かった。
しかしこの気球には最大の難点があった。
とばしたのはいいがコントロールが出来ず降りたい場所で降りられないことである。
このため実はこの気球は死者が亡くなった際にここにのせたのでは無いか、そうすると地上絵は死者を弔うための絵ではないかという説が浮かびあがった。
現在この説が一番有力視されている。
しかしこの謎が永久に分かることは無い。
なぜならばナスカ文明とは文字を持たない文明であったからである。
証明する物は何もない。


こうして、1300年にもわたって平原に残された地上絵は現在危機に瀕している。
それは有名になったこと。
有名になったことにより観光客が増加。
興味本位で地上絵を荒らす人が後を絶たなくなったためである。
これにより地上絵の周りには様々な痕が残るようになってしまった。
このため、1977年から地上絵周辺は立入禁止にしたのである。
現在では飛行機に乗ることしか地上絵に近づけない。


ナスカとフマーナ平原に残る地上絵は高台もない平原に正確に描かれていること、高度な測量技術が発展していた証として1994年世界遺産に登録された。
現在でも謎の多い世界遺産である。



立ち入り禁止の世界遺産
大賛成です。
人が入るとろくな事がありません。
世界でも世界遺産になった立ち入り禁止となった場所結構あるんです。
日本でも立入禁止の世界遺産あります!
白神山地は年間数十名の人以外は入ることができないんです!
でも、立ち入り禁止になったならせめて写真とかはたくさんとってもらって販売して欲しい。。