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 【[雑学]中南米

世界遺産雑学131--悪魔ののど笛と名付けられた轟音--
2000.12.30
 
世界遺産雑学131

--悪魔ののど笛と名付けられた轟音--

ここはいつも轟音が鳴り響く。
それは雨の日も風の日も鳴りやむことはない。
6000万年もの間、鳴り続けている。
そこは世界最大の滝


イグアス国立公園  ブラジル/アルゼンチン

南米大陸、ブラジルとアルゼンチンの国境
ここに世界でも類をみない滝がある。
北米大陸のナイアガラの滝
アフリカ大陸のヴィクトリア(モシアトゥンヤ)の滝
二つは世界三大瀑布と呼ばれている。
そして、最後の一つが南米大陸のイグアスの滝である。
しかし、この中でも特に巨大なのがイグアスの滝
また、最も水量が多い。
これにより常に轟音が鳴り響く。
しかし、その音により感動や畏敬の念を与えたのである。

イグアスの滝が形成されたのはおよそ6000万年前のこと。
この地に起きた地殻変動から端を発する。
もともとこの場所はゴンドワナ大陸といい、アフリカ大陸と南米大陸がくっついた状態であった。
それが、2億年前に地球のマントルの影響により、アフリカ大陸と南米大陸が分離。
この地殻変動により、この場所は大量の裂け目ができ溶岩が噴出。
溶岩にあふれたこの台地はやがて冷え固まり堅い大地を形成した。
この現象が何回か続きイグアスの地は何層かの堅い平らな台地が作られたのであった。
ただ、マグマが急激に冷えた際の割れ目も作られたのである。
こんな大地に滝ができる要因となったのが6000万年前の地殻変動。
この時にイグアスの大地が斜めに傾きこの場所に川が流れるようになったのである。
川はイグアスの大地を流れ、そこにできた裂け目に流れ込んだ。
行き場を失った水は次第に溢れ出す。
これが繰り返され次第に裂け目から侵食。
滝が形成されていったのである。

こうして現在あるイグアスの滝が完成された。
滝全体の幅は2700m以上。
落差は80m。
また、実はイグアスの滝とは大量の滝の総称。
実際の滝の個数は270にも及ぶのである。
毎秒に及ぶ落下する水の量、6万5千トン。
これは世界三大瀑布ヴィクトリアが8300トンに対し桁違いの水量である。
原住民グアラニー族はこの水をみて「イグアス」(巨大な水)と名付けたのであった。
また、イグアスの滝は馬蹄型になっておりその湾曲の中心にある滝が最も轟音をとどろかしている。
グアラニー一族が最も畏敬の念を抱いた場所。
彼らはここに悪魔を見たのである。
このため、この場所を「悪魔ののど笛」と名付けられた。
この場所だけでもヴィクトリアと変わらない水量を誇るのである。

また、イグアスの滝周辺には様々な動植物が生息する。
イグアス川の豊富な水量、イグアスの滝が舞いあげる水しぶきが大地を潤し植物をもたらしたのである。
ここにはジャガーやワニ、400種の鳥類や500種の蝶を有する国立公園。
2000種にわたる植物が生い茂り、動物たちに棲みかを提供しているのである。
ここはまさに最後の楽園なのである。

しかし、この楽園がいま脅かされている。
それは乱獲と観光化によって。
ヤシ科のアサイヤシは食糧として各地で伐採。
マーゲイ、オセロット、ピューマ、ジャガー、オオカワウソなどの哺乳類もその毛皮を目当てに乱獲されている。
心ない密漁者によって各個体は危機に陥っているのである。
また、観光地化によって国立公園の中に建てられた無計画な道路。
イグアスの滝をもっと迫力あるものにするために行われてヘリコプター観光。
特にヘリコプターではその音で鳥が逃げてしまい、動植物への変化が指摘されている。
こうしたことから1999年危機遺産へ登録。
何とか2001年には危機遺産リストから除外されたが未だに危険な状態である。


この2カ国にまたがるイグアス国立公園は世界最大量の落下水量を誇り、世界でも有数の自然景観の一つとして1984年アルゼンチン側が1986年ブラジル側が世界遺産に登録された。
この場所は同じ場所なのに各国一つの世界遺産として登録され2か所の世界遺産を示すのである。





聞いてみたい!!
その轟音。
きっと心に残るのでしょう。
でもここ行く時、気を付けてくださいね。
必ず濡れます。。。
水しぶきがもろにかぶりますので。