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 【[雑学]中南米

世界遺産雑学141--特殊な世界遺産Vol.25--
2000.12.30
 
世界遺産雑学141

特殊な世界遺産Vol.25
「たばこ、コーヒー」

--奴隷が支えたプランテーション--

ここは小さな島国
あるときこの場所には支配者がやってきた
彼らは農業を推し進める
他国からやってきた奴隷とともに


ビニャーレス渓谷/キューバ南東部におけるコーヒー農園発祥地の景観  キューバ

カリブ海に浮かぶ島、キューバ
ここはソビエト連邦が崩壊した後も社会主義をつらぬく国
このためアメリカの近くでありながらアメリカとの国交を断絶している。
今でもここでは冷戦状態が続いているのである。
こうしたキューバは実はかつて産業が発展したところであった。
しかし、それは支配という名の下で行われていた。
すべては過酷な労働をさせられた奴隷の悲痛な産業だったのである。


キューバが一躍有名になるのが大航海時代。
コロンブスが新大陸を見つけたことに端を発する。
こうしてヨーロッパからたくさんの人が新大陸に渡り植民地を拡大したのであった。
彼らの植民地で行ったことはその広大な土地と肥沃な土地を使った産業である。
さまざまな産業が持ち込まれたのである。
その一つにサトウキビがある。
サトウキビのプランテーションを行うことによって大量の砂糖を収穫し輸出することで莫大な富を得たのである。(雑学67参照)

この中でもビニャーレス渓谷ではその山々に囲まれた地形から葉煙草の栽培を始める。
家畜を使ったタバコ栽培など大量に生産するために数々の農法が生み出された。
特に奇妙な形をした山に囲まれ渓谷内は椰子の木が生い茂り、石灰質の土地ではまさにタバコの生産に適した土地であった。
高品質のタバコが作られ、各国へ輸出されたのであった。

キューバ南東部ではコーヒーの栽培が始められる。
19世紀になり前人未到のジャングルを開拓したヨーロッパ人はここにコーヒー豆の栽培を持ち込むのであった。
シエラ・マエストラ山脈の丘陵地帯にコーヒーの巨大プランテーションを確立し20世紀まで稼働した実績を持つのである。

こんなさまざまな産業がキューバでは発展。
しかし、忘れてはいけないのがこれを支えた奴隷。
キューバの人口だけでは足りず、アフリカ大陸まで奴隷を輸入。
最終的にはキューバの全人口の1/4もの奴隷が輸入されたのである。
それはカリブ海において100万人を超すとも言われている。
輸入された彼ら奴隷は朝から晩まで休みなく強制労働をさせられた。
人としての自由も人権もなく、ただ「物」同然に扱われたのである。
彼らは絶望の中で死んでいくという選択しかできなかったのだ。
すべてはこの世界遺産の歴史に刻まれている。
アフリカから輸出される場所も世界遺産ゴレ島として登録されている。
奴隷売買が行われた歴史は消して忘れてはいけない。


ビニャーレス渓谷はタバコ栽培の数世紀にわたり替わることの無い伝統、人間の営みと自然が調和した景観が優れているとして1999年に、キューバ南東部におけるコーヒー農園発祥地は開拓当時のコーヒー農園が世界でこの場所以外に現存せず、ラテンアメリカの社会・農業技術の歴史を伝えるものとして2000年世界遺産に登録された。
すべては奴隷が過酷な労働で支えられたことを忘れてはならない。




どうでしょうか!!
コーヒーの世界遺産と煙草の世界遺産。
情報が少なかったのでちょっと短い文章しか書けませんでしたが。
どんな産業でも後世に影響もしくは最高傑作、唯一現存とかになると世界遺産に登録されます。
にしても奴隷が使われた証ですからすごいとも言えないんですけどね。