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2011.01.13

 過去記事&コラム集

ネオ・ラオ・カルチャー



2009年、ピーマイ明けの4月、ビエンチャンのとあるNPOオフィスで、[1.Vientianale.org/are you happy?] (第一回ビエンチャンナーレ・インターナショナル・フィルム・フェスティバル) のポスターを「発見」した!


何を大げさな、と言われそうだけど、そりゃ、ここはラオスだから、これはある種の事件と言って良い。見ると作品が公募され賞も設けられている。

ラオスの今時カルチャーと言えば、数年来音楽でポップ・ラップ・ロック系が突出しているが、映画って存在していたのか? 確かにPVはそれなりに作られているが・・・知られざるラオス産の映画の現在とは一体!? そういう訳で駆けつけたVientianale(5/8-10)は、ドイツ大使館のLao - German Houseの中庭の特設スクリーンと小さなレクチャールームでの上映、ラオスのNo.1ロックバンドCellsのライブ、ビールと出店、主催のドイツ及び欧州、ラオ、日本人少々の参加者達が、実にアットホームに映画を楽しむ祭りだった。

実はラオス産の長編劇映画は、75の革命以来一本しかない *注1。
『RED LOTUS』は革命前夜の農村を舞台に、村娘ブア・デンとパテト・ラオの若き工作員の恋を、地主と結婚させようと欲深な継父が妨害。恋と革命が絡み、ラオス人民民主共和国初の映画に相応しい、しかし同時にのどかなモノクロ作品。日本でも度々上映され、ソムオック監督は山形国際ドキュメンタリー映画祭で来日もしている*注2。
 ビエンチャンナーレでは、ラオス人監督による中篇ドキュメンタリーと、ドイツはじめ欧米人監督による地方や戦争、社会問題についての作品、そして目玉が公募によるラオス産短編の賞対象作品プログラム。こちらは殆どが若きラオス人(映像アート専攻の学生)による新作20篇で、ユーモアを込めて今のラオ人、ラオ社会(都市、農村)を切り取ったものが多かった。

受賞作品は、(カッコ内、簡易説明)
★1st prize:Yes I am
(バンビエンの農民、生活向上の努力) 
 
★2nd:Interview with the host of heaven
(盲目のケーン奏者の語る人生)
★3rd :Morning Songs
(アニメ、朝を告げる鶏)
 
★3rd :Hot Coffee
(地方から上京してきた親子がカフェで戸惑う)

この映画祭はこれから隔年で開催されると言う。ラオスで映画を作る若い人たちが出てきたのは、やはり各大学に映像専攻科が出来た事と、デジタル技術の普及が当然大きい。映画祭のスタッフはラオス在住の映像教育者、NPOや教育関係者。教育・労働問題など鋭い問題提供をしている作品も多く上映された。
ささやかな映画祭ながら、ラオスで、これから映画が色々なパワーを育んで行く大切な場になって欲しい。
*注1 フィルムで撮影の公開作品として。同時期にもう一編ジャール高原を舞台に劇映画が撮られたが検閲に通らず未公開。また、今回の映画祭ではビデオ作品で「Wait to be a soldier」(筆者未見)作品が映画局制作名義で上映された。
 
*注2 山形で上映は山岳民族のドキュメンタリー。ソムオク監督は80年代国家の命で東欧・共産圏に派遣された留学生第一世代でチェコで9年映画を学び、後にラオス初の独立プロダクションを設立、フランスからの援助を得て招待作品『レヌエテの独楽』を制作した。

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文/宮﨑真子 80年代末より東~東南アジア各地を伝って、主にカルチャーの現場を訪ね歩き、撮影・ルポ・交流・友好を継続中。現在ラオス周辺諸地域の歌をテーマにしたドキュメンタリー準備中。 

※テイスト・オブ・ラオス紙面記事より転載