ところが、この数年来、かつてこの街になかった「音」がまるで雨季の竹の如く、あちこちで増殖中。それは『ラオ・ロック/ポップ』の恐るべき子供たち。

 

筆者にとってのその原体験はL.O.G.のデビューアルバムの一曲『Thu Si Thu Sa』※ラオを象徴する「竹製」の楽器、ケーンのイントロにヘビーなホーンが被さり、オリジナル・ラオ・ラップが畳み掛け、強烈に新しいラオ音楽の誕生に気づかされたのだ。
 

その起源は紛れもなく、'04に創立されたラオス初のロック/ポップ系レーベル『Indee　レコード』だ。

CDショップを経営していたPet氏はじめ3人の20代の若者が、当事まだラオス国立大内での人気バンドだったCellsのリードボーカル、サックがスタッフとしても加わり「ラオ・オリジナル音楽」を創るという意気を掲げる。Indee=はいわゆるIndies(音楽)の意味だが、ラオ語の発音の響きが良い(親切の意味もある)ところから付けられた。

 

創設期にはラオ初のダンス・ユニットOverdanceもあり、この中から看板バンドの双璧であるラップ/HIPHOPのL.O.G.(ラオ・オリジナル・ギャングスター)も生まれた。

ラオ語による正統的オルタナ・ロック<Cellsのデビューアルバムは10000枚を超えるセールスを記録(今に至るレーベルトップ売り上げ)。ビエンチャンの若者人口を考えると凄い数字と言える。それだけラオ産ロック/ポップ音楽が求められていた結果とも言える。 

新しい音楽の場

実は04年は世界的に音楽業界がCD売り上げ減の大きな曲がり角に来た時期。

しかしある意味後発ゆえにラオ産ロック/ポップ音楽界は逆に勢いを得た。後押ししたのは残された「開発ターゲット」次々にラオスに「新規参入」してきたシステムやビジネスだ。

①　デジタルメディア(携帯着信・ダウンロード)

②　タイアップ・コンサート・イベント

③　ラジオ・テレビのチャート・番組

  

①で言うと、現在Indeeのデジタル関連の売り上げはCDを上回るそう。街で若者の着信に注意!?

②古くはビアラオ、携帯のTigo、エア・アジア就航コンサート、その他新マーケット・ショッピングセンターオープン、ミス・ラオ受賞式まで、今やイベントにつき物なのがロック/ポップ音楽。無料のものが大半で一気にリスナー層を広げた。

③一応?社会主義国のラオ国営FM局はひとつしか無いが、音楽チャート番組は花盛り。ある意味コミュニティラジオに近いレベルでリスナーと直結して新曲のプロモーション効果が絶大と言う。地上波TV、衛星のラオ・スターチャンネルでも『Music BOOM』はじめラオ音楽番組が人気だ。(別表↓)

 

そんな訳で、今やビエンチャンの街中で、ラオ新世代音楽に接する事が出来るといえる。

現在のIndeeは20グループ、多くのアーチストを擁して、それらは創立当初のインディー系のみならず、幅広いジャンル、ある意味ポップ音楽全般を含んでいる。

さて、ビエンチャン中がラッシュに沸いたシーゲーム開会式では代表アーチスト、Sack,Cells, Aluna,Sam, Nalin, kimmy, AIdolz が熱唱。続いて国立カルチャーセンターでタイのGolf& Milkを招いてのクリスマスコンサートを敢行した。過去もタイ・グラミーからアルバムをリリース、コンサートも数多く出演しているCells。1月にラオ・続いてタイでも新アルバム発売、そして何と5月にはラオフェスティバルとメコン川音楽祭参加で初来日公演を果たすという。

 

たかが、若者の流行音楽と言うだけでない、ラオスの、ビエンチャンの様々な表情・成り立ちに影響を及ぼしているのがいま時のラオ音楽と言えるかも知れない。

人気のFM音楽・チャート番組

Music Lover Chart, Everyday 10.00am-12.00pm

Climax Chart,21.00-22.00pm for everyday

Fundee Radio Chart 23.00-00.00 everyda

国営ラオテレビの音楽番組

 Phang yam Buy= 3pm-4pm sat& sun

"Seesae phang Lao"

Lao star channel

1.music boom : sunday 2pm-3pm

2.Tolakong: sat 5pm-6pm(Indeeレコード提供)

3.music Z one (about 1pm everyday)

4. Unitel Music wed-th 8.30pm-9.30pm

http://indeerecords.com/  

(参考　Cells新曲)

http://www.youtue.com/watch?v=v_aShKM9R4Q
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文／宮﨑真子　80年代末より東～東南アジア各地を伝って、主にカルチャーの現場を訪ね歩き、撮影・ルポ・交流・友好を継続中。現在ラオス周辺諸地域の歌をテーマにしたドキュメンタリー準備中。 

※テイスト・オブ・ラオス紙面記事より転載