以下、在ラオス日本大使館からお知らせを頂きました。
ひったくり事件が、増えているという話は、巷でもよく耳にするようになりました。
滞在中の方は、お気をつけ下さい。
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大使館からのお知らせ(第13回海外邦人安全対策連絡協議会報告) 平成23年12月19日 在ラオス日本国大使館
9日,当館において第13回海外邦人安全対策連絡協議会が開催されましたので,右会議の内容につきご参考までにお知らせします。皆様の安全対策のためにご活用頂ければ幸甚です。
1.最新の治安情勢
大使館がまとめた最新のラオスの治安情勢は次の通り。
(1)治安情勢
国内治安情勢は、現在のところ大規模なテロや暴動等が発生する状況にはない。しかしながら,銃器を使用した強盗殺人・強盗致傷事件が続発し,薬物事犯が常態化するなど,一般犯罪は凶悪化傾向にある。
(2)反政府勢力
今年は1月からモン族の活動が活発で,政府軍・モン族双方に多数の犠牲者が出ている。雨期の間は同地域の各地で大雨による土砂崩れが発生し,これにより政府軍・モン族双方に目立った動きは無かったが,乾季に入り再び衝突が繰り返されている模様。旧サイソンブン特別区(現在のシェンクワン県及びビエンチャン県の一部)を縦断する道路の通行に関しては引き続き危険区域となっており,外国人の通行は禁止されている。
(3)一般犯罪
ビエンチャン特別市においては,強盗の発生件数は,2009年中が24件,2010年中が36件,2011年中は11月末まで既に75件の発生が報告されており,既に昨年比で2倍以上の強盗事件が発生している。
ビエンチャン市内では,現在ひったくりが多発している。被害者の95%は女性であり,自転車乗車時や歩行時には十分注意する必要がある。
各種一般犯罪の主原因の一部として薬物使用が上げられる等,全国的に薬物の蔓延が深刻な事態となっている。2011年上半期のラオス全国の薬物関連事案件数は次の通り。
検挙件数 687件
検挙人数 男性1,078名 女性227名(うち外国人38名)
押収薬物 覚醒剤(439.61Kg),ヘロイン60.40Kg),阿片(22.8Kg),大麻(1,461.49Kg)
(4)交通事故対策
治安維持省発行の機関誌公表によるビエンチャン特別市の2011年(11月末現在)における交通事故等の件数は,交通事故総数(2063件),負傷者数(3585名),死亡者数(206名)となっており,交通事故は在留邦人の最大の脅威となっている。
交通規範意識が低い現地ドライバーが散見され,交通事故現場も日常生活の中で頻繁に目にし,歩行者として巻き込まれる可能性も高く,また夜間や雨天時の走行には最大限の注意を要す。
2.自然災害に関する専門家からの情報
大使館は,9月に河川及び気象データの専門家から自然災害(主にビエンチャン市中心)に関する情報の提供を受けた。この中で参考になる情報は次の通り。
(1)メコン川本川の洪水
1913年のKM4水位観測所の設置後,ビエンチャン市内では過去に8回洪水が発生。このうち,1966年は既往最大の洪水被害が発生し,2008年は既往最大の水位(水位:13.7m)を観測した。
通常,メコン川はゆっくりと増水するので,メコン川委員会(MRC)等の洪水予測情報を活用すれば洪水前にある程度の対応策が取ることができる。またビエンチャン特別市では、100年に1度の洪水を想定した大規模な築堤事業も進行中であり、洪水に対する安全度は高まりつつある。しかし気候変動による降雨特性の変化や流域の土地利用の変化などの影響により、今後、従来の想定を超える大規模な洪水が起こる可能性は排除できないため、警戒は必要である。
(2)ナムグムダムの放流による周辺への洪水
既存ないし建設・計画中のダムは,複数の会社によって管理されており,それぞれの会社の間で情報共有がなされ放水量等が適切に管理されているのか,運用管理基準があるのかなどは不明。このため,今後もダム放流に伴う洪水被害が生じるリスクがあると考えられる。ただし被害はナムグム川沿川が中心であり,ビエンチャン市の中心部が直接被害を受ける可能性は少ない。
(3)局地的な集中豪雨
都市部では,家屋浸水、道路冠水、交通の麻痺などが発生する恐れがある。。
(4)土砂災害(土砂崩れ,土石流,地滑り)
ラオス国内の山間部を中心に土砂災害が頻発している。特に降雨時には土砂災害に巻き込まれる危険があるほか、道路の寸断により緊急事態(避難,急病人搬送)等への対応が困難になる。
(5)突風
突風による家屋倒壊,離発着航空機への影響,電話回線網の損傷による連絡網の寸断,電柱倒壊による停電等の恐れがある。
(6)雷
電力設備,電力供給系統への落雷による停電,通信設備損傷による通信途絶等の恐れがある。過去に落雷した場所は,再び落雷する可能性もある。
(7)地震
発生頻度は少ないものの1980年代にビエンチャン市内で地割れ,寺院の屋根が壊されたとの記述がある。最近では,タイ,ミャンマー,中国国境付近,サイニャブリ山中震源の地震発生が気象水文局の地震観測センターで観測されている。近年、ビエンチャン市内で増えている中層建築には、耐震性が懸念されるものもある。
(8)トロピカル・ストーム(台風)
今年6月末のハイマに続き,7月末のノックテンが大きな被害をもたらした。南シナ海に発生したトロピカルストームが北上しベトナム上陸後インドシナ半島内陸部のラオスで勢力を拡大し,大きな被害をもたらすが,台風上陸後の勢力が拡大するケースのメカニズムは未解明。
3.自然災害(洪水時)の健康対策
洪水により溢れ出た水は,生活用水や糞便,化学物質などに汚染されている可能性がある。水との接触により感染症の危険が高まり,特に上水道が汚染された場合には注意が必要。また,建築物などの破損等によるけがにも注意が必要。自然災害発生時の健康対策は次の通り。
(1)汚染された水や食品が口から入り発症する:A型肝炎、コレラ、腸チフス、食中毒など。
対策:きれいな水で十分な手洗い。飲用にはペットボトルなど飲用に適する水の使用。洪水でぬれた調理器具や食器を使用する前にはきれいな水でよく洗い消毒する。洪水に浸かったものや安全性が確認できない食品は食べない。
(2)汚染された水に接触し発症する:レプトスピラ症,皮膚炎,結膜炎,耳鼻咽喉感染症など。
対策:不必要に水の中に入らない。洪水で溢れ出た水に接触した場合きれいな水でよく洗う。
レプトスピラ症は,病原性レプトスピラ細菌感染によって発症する。この細菌は牛,豚,ネズミなどの腎臓に定着し,感染した動物の尿や尿に汚染された水や土壌に接触することにより,または汚染された水や食物を飲食することにより感染する。症状は発熱,頭痛,筋肉痛,眼結膜の充血などがあり,風邪症状の軽症型から,黄疸,出血,腎不全を来す重症型がある。雨季に流行がみられることがあり,予防対策としてむやみに水の中には入らないことが重要。
(3)洪水により蚊が増加し発症する:デング熱、マラリアなど
蚊は洪水後,水が引いた頃に発生増加することがある。
対策:蚊を発生させる環境をつくらない。蚊に刺されない対策。
(4)けが,または動物に咬まれることで発症する:破傷風、狂犬病など
けがによる感染,災害から逃れた動物に咬まれる危険性がある。
対策:けがや動物に咬まれた場合,まず石けんを用いてきれいな水で傷口をよく洗う。 破傷風など感染症の危険が高いけがや動物に咬まれた場合には,速やかに医療機関を受診する。
(5)その他:感電、溺水、一酸化炭素中毒など
対策:切れた電線のそばには近づかない。電気回路または電気機器がぬれている,または浸水域付近にあれば電源を切る。火の取扱,特に換気,引火に注意する。やむを得ず浸水地で移動や作業する場合には,ライフジャケットを用意する。
4.緊急事態発生時の情報発信・安否確認
大使館が想定している緊急事態発生時の情報発信・安否確認の手段は次の通り。
(1)通信が平常通り使用できる場合
大使館では,大使館からのお知らせメールによって,安全・治安情報等を在留邦人に対して配信しているが,このメールサービスは,緊急事態が発生した際にも情報提供や安否確認を行うことを想定しており,本年3月に当館と登録者との間でメールの送受信訓練を行ったところ。緊急事態発生時には,このメールに加えて,在留届による電話連絡,各団体の緊急連絡網やメーリングサービス等を活用する。
(2)通信が不通となった場合
大使館は,市内の主要箇所(大使館,JICA事務所,ラオプラザ・ホテル,パークビュー・アパート,ワッタイ空港等を想定)に最新の情報を掲載したペーパーを貼り出す他,FM放送を通じて邦人への情報提供を行う。緊急時に備えて,FM放送が受信できるラジオ,MP3,携帯電話等の携行をお勧めする。上記主要箇所では,邦人の安否確認も同時に行う。FM放送の周波数等は次の通り。なお,受信場所によって,周波数の受信状況が異なるため,3つのチャンネルを用意している。
CH1 87.70Mhz
CH2 88.40Mhz
CH3 90.20Mhz
ラオス国内で通信が不通の場合であっても,タイ側の通信が使用できる可能性があるので,国際ローミング可能な携帯電話の所持をお勧めする。また,タイ側の通信を経由して日本や第三国へ電話連絡できる場合には,外務省本省や在タイ日本大使館等,最寄りの在外公館に自らの安否・所在につき連絡するようにする。
大使館では,上記情報発信・安否確認方法に加え,緊急時に役立つ電話番号や当館FM放送周波数等を記載した旅券サイズのペーパーを作成し,大使館ホームページ,お知らせメール,日本人会会報等を通じて,在留邦人・旅行者に広く配布すべく準備しているところ。
5.その他
大使館より,これから年末年始にかけて,忘年会や新年会等,酒席の機会が増えるとして,飲酒運転は絶対にしないよう出席者に注意を呼びかけた。