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2009.06.22

 ベトナム街角笑ケース

第15話:バラバラ単語事件

「ベトナム語は1単語1音節」なのだそうだ。だから、こういうことになってしまうのである。



今回の写真は、小生の家の近くにあるコピー屋さんの看板。「photocopy」という一つの英単語が、音節ごとに4つに分解されてしまっている。これ は、看板が縦長であるという理由だけでなく、冒頭に書いたように、1音節を1単語として把握するベトナム人にとっては、これが4つの「単語」と理解されて しまうのだろう、と私は推測している。

小生の友人のベトナム人に、Le Thuという女性がいる。カタカナで書くと「レ・トゥー」。「レ」が姓で、「トゥー」が名、これでフルネームなのだ。だからベトナム人にとって、日本人の 名前は、とにかく長過ぎて覚えにくいらしい。だから、覚えやすいように、勝手に短縮されてしまうことがある。

日本から出張でやって来た「真由美」さんを、ベトナム人スタッフに紹介したら、
「あなたの名前、長過ぎて覚えられないわ。そうねえ、あなたは『ミ』さんにしましょう!」
と勝手に命名されてしまった。ちなみに「ミ」さんというのは、ベトナム人女性の名前としてもよくある名前。語源は同じ「美」である。

「雅彦」さんは「コ」さん、「真一」さんは「チ」さんに、「あなたの名前は、明日からこれね」と宣言されてしまった。いずれも最後の音をとっただけ。法則性があるというか、いや、それにしても安直過ぎないか。

地下のトンネル要塞があることで有名な「クチ」の町も、あれは1単語ではなく、「ク・チ」と2つの単語。少数民族の住む北部の町「サパ」も「サ・パ」と2単語である。ちなみに首都ハノイは「ハ・ノイ」。

「日本語で『ありがとうございます』は、なんていうの?」
と、ベトナム人から質問され、
「ありがとうございます、って言うんだよ」
と、説明しても、ほとんどの人は、あまりの長さに目を白黒させてしまい、1回では聞き取れない。
「ベトナム語なら、Xin cam onと3語なのに、日本語は10語もあるのね!」
と、変なところで感心される。

話がすっかり脇道にそれてしまった。看板の話に戻ろう。「photocopy」という1つの単語が、ベトナム人には、4つの単語として認識されている」 という説は、ベトナム語を習ったことすらない、まったくの素人の戯言ではある。が、単に4つに分けるだけでなく、「copy」の部分が、「cop」 「py」と、一つpが補われている点に、何となく意味ありげなものを感じてしまうのだが…。

そういうわけで、今週の笑ケースは4つに分解されてしまった単語、名づけて「バラバラ単語事件」の看板で。

お後がよろしいようで…。

(担当:越野 南雄)