新聞で「今後、労働許可証を持たない外国人労働者に発給されるビザが、最長3ヶ月までになった」という報道を読み、ちょっと困ってしまった。
日本人の場合、15日以内の滞在であればビザが不要になっているが、外国人がベトナムに長期滞在するには、当然のことながらビザがいる。小生は、これまで6ヶ月間有効な滞在ビザを取得していた。これを今後は、3ヵ月ごとに延長することが必要になるのだ。
何が困るかというと、この滞在ビザの延長、うっかり忘れてしまうことがある。小生も、自慢じゃないが、今まで何度「あ、ビザが切れている」と慌てたことか分からない。半年でもそうなのに、3ヶ月に1回となると、「うっかり不法滞在」の回数が増えてしまうのは間違いない。
そこで気になるのは、ビザの有効期限を越えて滞在する、つまり不法滞在をすると、どうなるのか。結論からいうと、どうにもならない。小生自身、以前にビザで許された滞在期間を1週間過ぎてから、ビザの延長申請をしたことがある。担当者は「あなた、ビザが切れていますね」と言っただけで、あっさり、翌日から有効となるビザを出してくれた。
本当は「不法滞在をすると1日当たり幾ら」という罰金規定もあるそうだ。さすがに不法滞在期間が1ヶ月など長期間になると、罰金が科せられるそうだが、数日程度の空白期間ならば、お咎め無しなのである。
その理由を、ある弁護士に話を聞いたところ、
「不法滞在して、何か悪いことをしたんだったらともかく、単にビザが切れていただけでしょう? だったらいいんじゃないですか」
とのこと。この国の何と大らかなことよ!
そもそも、ベトナムは基本的にビザに関する規制は緩く、6ヶ月マルチと呼ばれるビジネスビザは、保証人さえ立てれば旅行者でも取れてしまう。さらに、繰り返し延長が可能だし、その際、一々出国する必要もない。手続きも簡単で、旅行会社にパスポートを持参し、規定のお金を払うだけ。料金は業者によって異なるが、6ヶ月ビジネスマルチは、大体100ドル以下だ。
以前に飲み会で、
「オレは3週間、不法滞在になったことがある」
「いや、私は実は2ヶ月も...」
「お姉さん、それは猛者ですなあ」
「ワハハ!」
など、不法滞在自慢になったことがある。本来は笑い事ではない話が、ジョークのネタになってしまう、それがベトナムなのである。
そういうわけで、今週の笑ケースは「不法滞在なんて怖くない」。ではでは、お後がよろしいようで...。
(担当:越野南雄)