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長引くストでハリウッドの危機!(千歳香奈子)
2007.12.05
 
 11月5日から突入している米脚本家組合(WAG)のストライキの影響が、そろそろ表面化してきました。WGAは、映画テレビ製作者同盟(AMPTP)とDVD販売の収益配分の増額やインターネット配信の配当などを巡って、1988年以来19年ぶりにストライキに突入。ロサンゼルス市内の各映画スタジオやテレビ局前では連日、多くの脚本家がピケを持ってデモを行なっていますが、11月末に非公開で行なわれた交渉も決裂。長期化することが懸念されています。

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    一番最初に影響が出たのは、テレビのトーク番組。翌日からは深夜の人気トーク番組「ザ・トゥナイト・ショー・ウィズ・ジェイ・レノ」や「レイト・ナイト・ショー・デビッド・レターマン」が再放送に切り替わり、放送中の人気ドラマ「デスパレートな妻たち」や「アグリー・ベティ」なども次々と撮影が中止となり、来年1月から放送予定だった「24」シーズン7も放送が無期延期されました。NBCで放送中だった「ヒーローズ」も放送スケジュール変更を余儀なくされ、予定よりも早く今シーズンを終えることとなってしまいました。

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   テレビに比べて長期スケジュールで製作される映画は、スト開始直後はほとんど影響が出ていませんでしたが、1ヶ月を迎える頃から序々に影響が出始めています。各スタジオはストを想定して、事前に多くの脚本を集めていましたが、スト中は脚本の手直しが出来ないために撮影中止となる作品が続出しています。最初に影響を受けたのが、トム・ハンクス主演の「ダ・ヴィンチ・コード」の前章にあたる「天使と悪魔」とブルース・ウィリス主演でオリバー・ストーン監督がメガホンを取るソンミの虐殺を描いた「ピンクビル」。さらに、ブラッド・ピットは脚本に不満があるとして「ステート・オブ・プレイ」を降板し、ジョニー・デップの新作も製作が中止となるなど、多くの俳優の今冬のスケジュールが白紙になるという異常事態となっています。
 
    また、このままでは来年2月に行なわれるアカデミー賞授賞式にも支障が出るのではないかと囁かれ始めています。構成作家なしではテレビ中継する番組を作れないということが理由。構成作家もWGAのメンバーなので、スト中は一切仕事が出来ないのです。
 
   22週間にわたった前回のストでは、業界全体に5億ドルの損失が出たと言われています。今回はそれ以上の損害となる可能性が高く、このまま泥沼化すれば来年の夏以降は、映画もリバイバル作品ばかりになってしまう可能性もあります。また、来年夏には俳優組合もストに突入する可能性もあることから、今後は新作映画が激減するかもしれません。

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千歳香奈子
札幌生まれ。フリーのハリウッド芸能ライター。
メール宛先:kanako@panseusa.com