
今年は、アメリカ社会の闇を描いた作品や暴力的な描写が多いものが多くノミネートされ、暗いムードが漂うアカデミー賞でした。さらに、アカデミー賞授賞式後に行なわれるヴァニティ・フェア誌主催のアフター・パーティーも中止になるなど、全体的に暗い一夜となってしまいました。
日本からは、「モンゴル」で外国語作品賞にノミネートされた浅野忠信がロサンゼルス入りし、セルゲイ・ボトロフ監督と共にレッドカーペットを歩きました。授賞式直前にビバリーヒルズのホテルで行なわれた会見では、「(レッドカーペット上での質問は)英語が分からないので、分からないときは分からないと答えます」と話していた浅野は、残念ながらオスカーを取れなかったものの、授賞式後には「素晴らしい経験ができた」と笑顔を見せていました。

今年は俳優部門のオスカーを欧州の俳優が独占しました。主演男優賞は、イギリス出身のダニエル・デイ=ルイス(「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」)、主演女優賞は「エディット・ピアフ~愛の賛歌~」のマリオン・コティヤールがフランス人女性として49年ぶりとなるオスカーに輝きました。助演男優賞は「ノーカントリー」でオカッパ頭の不気味な殺し屋を怪演したスペイン人のハビエル・バルデムが、助演女優賞にはイギリス人のティルダ・スウィントン(「フィクサー」)がそれぞれ輝きました。

脚本家組合のストライキの影響でギリギリまで開催が危ぶまれた今年のアカデミー賞。注目された脚本賞は、「JUNO/ジュノ」を書いた元ストリッパーのディアブロ・コディが受賞した。16歳の少女の妊娠を描いた同作品は、作品賞にもノミネートされ、大ヒットしている。「この賞を全ての脚本家に捧げたい」とスピーチし、会場から大きな拍手が沸き起こっていました。