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 【スポーツ観戦

抑えはつらいよ(Mr KBこと盆子原浩二)
2008.06.06
 
6月5日は、ドジャースの抑えの切り札斉藤隆投手のBOBBLEHEAD DOLLを来場者にくばるプロモーションの日であった。コレクターもいると言われる人気のプロモーションで、昨日も木曜日でさらに地元バスケットボールの人気チーム、レーカースの決勝第1戦があったにもにもかかわらず、44,988人が集まった。対戦チームも30球団のなかで現在最も好調なシカゴカブスでソリアーノ、リーそしてご存知FUKUDOMEと、相手にとって不足は無い。試合は、先発ビリングスリーが小刻みに点を取られて0-4とリードされたものの、近頃の貧打線のドジャースがウソのように意地を出し8回裏には同点とした。9回表からいよいよ本日の主役、背番号44斉藤の登場である。調子は良さそうに見えたのだが、二塁打とデッドボールで一死1、2塁のピンチをまねき、迎えるバッターはFUKUDOMEである。一球目から六球目まで150キロを超す速球でストライク、ストライク、ボール、ボール、ファール、ファールと押さえ込んでいたが、運命の七球目は140キロの「バックドア スライダー」が真ん中にきた。さすがFUKUDOMEはのがさず、一、二塁間の決勝タイムリーヒットとなり、カブスに勝利をもたらした。「切りかえていくしかない」との試合後談はあるものの、主役斉藤にとっては悔やんでも悔やみきれない、しかしいつもと少し違う思い出深い試合となったのかもしれない。

この試合を見て想い出した。1988年のことであるから、今から20年も前のことである。

10月15日、ドジャース対アスレチックスのワールドシリーズ第1戦がドジャースタジアムで行われた。圧倒的優勢をほこるアスレチックスと、けが人続出で前評判の悪いドジャースとの対決は、戦前の予想どおりアスレチックスが4-3と9回の表までリードしていた。そして、その裏からは当時メジャーを代表するクローザー、背番号43デニス・エカースリー(通算 197勝 390セーブ 殿堂入り)が登板し、誰もが第1戦はアスレチックスのものと思ったものである。ところが、二死から代打デービスが四球で出塁すると、当日の試合にはとても出場が無理だと言われたカーク・ギブソン(1988年MVP)が代打で登場、55,985人の驚きの声が球場からわき起こった。エカースリーは、脚の故障をおして打席に立ったギブソンを速球で責めに責めた。何しろ走れないのである。ところが、ボールに当てるのが精一杯と思われるギブソンへの七球目はなんと「バックドア スライダー」で、プレートの真ん中に入っていった。ギブソンのバットがそれを弾き、ボールがライトスタンドで跳ねたとき、この試合はロサンゼルスのスポーツ史上、最も有名かつ印象に残る一戦となり、そしてこのホームランは、この先ずっと色褪せることなく語り継がれていく一打となった。このワンシーンこそ、まさに伝統のハリウッド映画さながらの感動を与え続けているのである。「エカースリーは速球で押してくるが、どこかでスライダーを投げてくる」とのスカウトのリポートが、シリーズ前にあったともいわれている。ボールがスタンドに飛び込むのを追っていくエカースリーの瞳、そしてそれを追うテレビカメラの何と残酷な事か。

抑えはつらい。本当につらい。

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Mr KBこと盆子原浩二