夜の10時、11時くらいまで、まだ明るく、
それから、ゆっくりと、日が落ちていく、夏のパリ。
空が、ゆっくりと薄い紫色に変わり、その頃、街の装いも少しずつ変わっていきます。
レストランで、夕食を終え、帰宅の途につく、タクシーの中から、
ぼんやりと、目に飛びこんでくるのは、ライトに浮かび上がる建物、
そして、濃い紫色から紺色、次第に、藍色の空が包んでいくパリの風景。
遠くには、エッフェル塔の点灯。
街の灯りが、少しずつ反射して、ゆらゆらと揺れるセーヌの水面。
その横の通りを車が颯爽と走って、窓を開けると、
さらっとした風が、心地よく、肌を通り抜けます。
少しずつ、ドレスアップしていく街は、ワインの酔いも、少し手伝って、夢を見ているよう。
ロマンチックな美しさを感じさせてくれます。
そう。今宵は、
そんなパリの夜だからこそ、ふと聴きたくなる音楽を、ご紹介します。
Stacey Kent (ステイシー ケント) 「Que reste-t-il de nos amours?」
Stacey Kent (ステイシー ケント)は、1968年3月27日、
アメリカのニュージャージー州出身のジャズシンガーです。
以前は、アメリカで活躍していたジャズシンガーですが、
2009年、仏ブルーノートEMIに移籍。
その後、フランスの芸術文化勲章である、“シュヴァリエ(騎士)”も授章しました。
それまでは、アルバムも、全曲英語でリリースしていたのですが、
移籍後、今年2010年3月に、リリース第二弾となる、
ステイシーの初の全曲フランス語のCDアルバム、「Raconte-moi」をリリース。
誰もが一度は聴いたことのあるスタンダードナンバーを、柔らかな声で
そっと歌い上げてくれています。
このアルバムは、日本でも、日本盤として、
今年、6/16にEMIより発売されることになり、
その中の最後に、日本盤ボーナストラックとして、収録されている曲が
この「Que reste-t-il de nos amours?」です。
日本で発売のアルバムタイトルは、「パリの詩(うた)」となっています。
http://www.emimusic.jp/jazz/stacey/
(数曲、試聴もできます。)
実は、ステイシーが、2007年にリリースしたアルバム「The Boy Next Door」に
収録されていた、この楽曲。
原曲も同様、日本語タイトルは、「残されし恋には」と
少々硬めのタイトルがつけられていますが
原曲は、フランスの往年の男性シャンソン歌手である、シャルル・トレネの楽曲で、
1968年の映画、「夜霧の恋人たち」の主題歌でした。
シャルル・トルネは、フランス男性ならではの、甘く軽やかな歌声が特徴で、
今でも、「ブン」や「ラ・メール」といった楽曲は、様々な歌手に歌い継がれています。
シャルル・トレネの原曲も、古き良きフランス映画へ誘われていくような、
甘く、どこか懐かしい楽曲ですが
ステイシーが歌う、この楽曲は、パリの夜に、とても似合う楽曲に仕上がっています。
母国語でないフランス語にもかかわらず、彼女のフランス語は気持ちよく、
なんとも、見事に、ライトアップされたパリの夜の雰囲気を、
私たちに、そっと感じさせてくれます。
パリの心地よい夜風に吹かれているような気分を、
今宵は、優しく、柔らかなステイシーの声に、感じてみては、いかがでしょう。
(ステイシー・ケント 楽曲はコチラ)
http://www.youtube.com/watch?v=hF9FSX0kqr0
(シャルル・トレネ 原曲バージョンは、コチラ)
http://www.youtube.com/watch?v=xWAxaHuwg30&feature=related