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7月某日。時刻は、まもなく、10時ちょうど。
真夏だというのに、気温15℃ほどの、肌寒いパリの朝。
皮ジャンやブーツが手放せないパリの装いをすり抜け、
足早と向かったのは、
パリ・リヨン駅。
手に握りしめている切符は、
レイル・ヨーロッパ・ジャパンにて購入した、
『TGV6109 10:15 パリ・リヨン発 14:35 Hyere (イエール)着』。
まずは、さかのぼること、1時間前の話から。
そこは、アパルトマンのある、パリ8区の最寄駅近くのタクシー乗り場。
通常なら、9時に家を出て、その場所まで、ゆっくりと歩き、
乗り場では、いつもなら、不自由なく、簡単にタクシーが何台も来るはず・・・
また、本当なら、30分もしない間に、パリ・リヨン駅に到着、という計算だった。
しかし、この日に限って、そのタクシー乗り場に、タクシーが一台も来ない。
あれ?嫌な予感。
おまけに、前には、すでに、3人ほど並んでいる。
今度は、自分が並ぶと、即座に、後ろには、数人の列。
予感はしていたのかもしれない。
念のためを考慮して、実は、この日は、家を出る時刻の、
さらに15分ほど前、つまり、8:45ごろに家を出ていた。
これが、一応は、大正解。
しかしながら、待てど待てど、タクシーは来ない。
一週間分の大きなスーツケースを持っているため、
今さら、メトロで、動くわけも行かず、
どんなに待っても、ここを離れるわけにはいかない。
不安と願いを繰り返す中、なんとか、1台・・・また、1台と、タクシーが到着。
そして、いよいよ、次・・・・・。
待ってました。待ちました。
ようやく、タクシーが登場。
合計20分ほど待って、ようやくタクシーをGet。
予定より、長く待ったものの、とにかく、これで、駅には行けることには成功。
ところが。今度は、道路が、大渋滞。
運転手さんによると、なんと、この日から、「パリ・プラージュ」が始まるということで、
川沿いは、どこも、混雑してる、との話。
またしても、冷や汗を拭うはめに。
なんとか、10時前には、到着したいと懇願。
「なんとか、道を見ながら、進むよ」と、親切なタクシーのおじさんの配慮。
願いが通じたのか、途中からは、スピードアップ。
度重なる不安感と共に、
ようやく、リヨン駅に到着できたのが、10時10分ほど前だった。
「おじさん、ありがとう。」 (おつりは要らないよ!)
結果的には、出発時刻の約25分ほど前、という、
ベストな状況で、駅にたどり着いたが
思いのほか、時間はかかってしまった。
そう。お伝えしたかったのは、
フランスでは、決して、時間は読めない、ということ。
結局、余裕で30分で行けるという計算は、見事はずれ、
トータル1時間は、かかってしまった。
絶対に、乗り遅れてはいけない朝は、
ちょっと、余分すぎるくらいの時間の余裕を持って、
時間が余れば、カフェでお茶でもするぞ~というくらいの気もちで、
「行動する・・・」。
旅の鉄則は、時間厳守。
話は、元へ・・・
午前10時前の、パリ・リヨン駅。
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長距離列車は、発着する「駅」、というのは、空港と同様、
なんとも言えない、臨場感に、心が躍る。
しかし、ワクワクと臨場感だけに浸っているわけにいかない。
イエール行きの直通列車は、1日に、1本~2本。
何度も言うが、乗り遅れるわけにいかないから、
駅に着いたら、とにかく、何番線なのか・・・
それだけは、しっかりと確かめて。
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現在、イエール行きは、黄色のマークがあるのみ。
番線の数字が出ていないと、少し不安。いったい、何番線??
掲示板をチェックしつつ、
プラットホームから、後ろを振り向く。
そこには、「レオン」という映画の撮影も行われた、
フレンチレストラン「Le Train Blue (ル・トラン・ブルー)」。
リヨン駅構内には、実は、こんなお洒落なブラッスリーがある。
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中は、シャンデリアが輝く、とても美しい内装。
時間に余裕があれば、ランチでも食べて、
そのまま、優雅な気分で出発するのもいいかも。
ところで。
決まり事をお伝えしないといけない・・・。
フランスのSNCF(国鉄)に乗る際には、忘れてはいけないこと。
乗車前に、その列車の前の機会で、必ず、スタンプを ”自分で”押すこと。
(忘れると、罰金が科せられます。)
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この、右の小さな機械に入れ、”カシャ”という音がすれば、OK。
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といっても、まだ、少しだけ時間があるから、刻印は、また、あとで・・・。
ふと、目に飛び込んだ、
なにげない、駅のポスターの、
それぞれのフランスらしいセンスに”関心”と”感心”を持ちつつ、
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同時に、「食」への意欲だって、忘れるはずもない。
イエールまでは、4時間20分の旅のため、
TGVの中で食べる、今日のブランチは、ここで買ってみよう。
コーヒーやカフェオレ、
それに、クロワッサンやパンオショコラ、サンドウィッチなど、
好きなモノを選んで・・・。
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構内には、そのほか、様々なカフェも。
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実は、ここで、ふと、気づいた。
10:15のイエール行き、なぜ、黄色のマークだったのだろう???
目の前の、案内の看板を見る。
『黄色のマーク(5番ー23番)のプラットホームの列車は、こちら』。
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たった今、大変なことに気づいた。
そう。この看板で、気づいた。
つまり、イエール行き、このプラットホームでは、なかったのである。
なぜなら、思い出してみて・・・
イエール行きは、確か、”黄色の表示”となっていたはず。
悠長に、クロワッサンや、カフェオレで、ワクワクしている場合ではなかったのだ。
しかしながら、同時に、大変なことに、”今、気づいたこと”は、
これでも、なかなか、偉かったほうである。
実は、乗る列車、つまり、黄色の印は、
このプラットホームでなく、別の場所からの、出発だった。
すぐさま、大きなスーツケースとランチと共に、走って、移動。
急がないと。
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こっち、こっち。
え、こんなところなの???本当に??
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ようやく、たどり着き、見上げたのは、こんな新しいプラットホーム。
建設中?リニューアル中?
こちらは、なんだか、不思議なホーム。
どちらにしても、さっきの本駅と、まるで趣きが違う。
しかし。
今度こそ、イエール行きの列車に出逢えると確信。
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![](/m/71/20110809-059.jpg)
ありました。今度こそ、確信・・・、13番線。
TGV6109は、マルセイユ、トウーロン、と経由して、そして、イエールに到着。
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乗車する番線の前で、
並んで、ひとりずつ、順に、刻印を押して、列車のほうへ。
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いよいよ、乗車。
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![](/m/71/20110809-068.jpg)
今回の座席は、2階席。
重い荷物があると、実は階段を上るのが、少し大変ではあるけれど、
景色を求めるには、やはり、2階席へ。
階段を上がった右手にあるのが、トイレと、荷物の置き場所。
あとは、座席車両の中にも、数か所、荷物を置く場所があります。
スーツケースは置いて、席へ移動しても、さほど、心配しなくても大丈夫。
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1等の車内。
一言で、感想を言うと
本当に、快適。
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音が静か、まったく揺れが無い。
それに、何よりも、不思議と、安心感が感じられる。
眠ってしまっても、何も問題は無さそう。
室内の温度もちょうど良く、座席の座り心地も、「快適」、そのもの。
たった、ひとつだけ、気になるとしたら。
向い合せの座席になっていることが多いので、
進行方向と逆向きに座ることになるかもしれない。
中には、ほとんどが、逆方向に座ることになる車両もあり、
慣れないと、最初は、若干、違和感を感じるかもしれない。
(つまり、新幹線のように、反対向きだからと言って、
座席を回転させることは出来ない。)
しかし、フランス人は、それが普通であり、気にならないようで、
車両によっては、座席のほとんどが、反対向きになっていても
その絵図は、
ただ、静かに、全員が後ろ向きの状態で、走っている、という感じなのである。
反対向きに流れる景色も、時には、珍しい経験として、
意外にも楽しい感覚である。
TGVの、いかにもサロンといった感じの、色や雰囲気も、居心地が良い。
それって、床も絨毯だから??
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いざ、南へ。
南までの風景は、このような、農村風景が、ほとんど。
でも、見慣れないフランスの農村風景は
自分の何かが少しずつ解きほぐされていく・・・
そんな感覚にしてくれる・・・。
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また、
南仏へは、飛行機の利用も可能ではあるけれど、
なんと言っても、TGVで行く旅の良さは、
飛行機と違って、
少しずつ、空や街の色が変わっていくのが、目で見て、わかること。
ずっとグレーの空だったパリから、どんどんと、少しずつ青くなっていく空。
窓いっぱいの、開放的な緑の田園や山々・・・。
そして、時に、小さな街の色や表情が、
自分が動かずとも、車窓から垣間見れる。
南に近づくほど、海も見え始める。
自分自身も、また、”いきなり・・・”、ではなく、
”ゆっくりと、少しずつ”、南へと走り、
少しずつ、揺るいでいく自分を、体感できるのである。
それは、おそらく、旅の醍醐味のひとつであり、
むしろ、ひとり旅には、居心地の良い感覚である。
「だけど、4時間は退屈でしょう??」
いえいえ、どうか、御心配なく。
TGVの4時間は、思いのほか、あっと言う間。
その感覚を、一度は体感してほしい。
さて。最初の経由地は、マルセイユ。
もう、ここでは、カラッと爽やかな空気を感じられる。
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その30分後は、トウーロンへ。
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トウーロンで、多くの人が降りて、車両は意外にも、空き・・・
なんと、貸し切り状態。
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そして、トウーロンから、15分ほどで、
いよいよ、目的のイエールに到着。
この後、マダム達は、薄いコートや革ジャンを脱いで、
堂々と、肩紐のリゾート着を披露。
(他の車両に、こんなにも、人が乗っていたの??)
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気温15℃のパリから、
たった4時間ほどで、
25~26℃くらいの爽やかさ。
雨は、年間を通して、ほとんど降らないという
いつも、青空の街、イエール。
夏、真っ盛りです。
ちなみに、日本人は、ひとりもいません・・・・。
■ TGV は、予約が必要です。
日本で、あらかじめ、予約購入しておくことをオススメします。
日本語で購入可能なので、大変便利です。
◆TGVの予約、お問い合わせは、
RAIL EUROPE JAPAN (レイル・ヨーロッパ・ジャパン)
http://www.raileurope-japan.com/
*レイル・ヨーロッパ公式サイトより、日本語で簡単に手続き・購入ができます。
*購入チケットは、自宅へ配送してもらえるので、受け取る面倒がありません。
*期間限定商品や、キャンペーン商品も多数あり、
たとえば、1等席でも、オトクに購入できることも。
(注:パリ~イエール間は、1等席でも、食事はついていません。)
期間によって、価格や、直通列車の有無、本数が変わるため
公式サイトで、希望の内容を入力し、確認してみることを、オススメします。