Yさんが運転する車でいざ龍井村へ。中国で車を運転することは結構危険。それでもお子さんが3人いるYさんは必要に迫られて、運転を覚えたと言う。確かに安全運転。
20分ほどで、龍井村に到着。車で狭い道を進んでいくと、そこは何だろうか、昔修学旅行で行ったどこから観光地を思わせる、まるでお寺の参道の両脇に土産物屋が並んでいるような光景。聞いてはいたが、うーん。
Yさんはそんなことにお構いなく車を進める。どこで停まるつもりだろうか。皆目見当がつかない。そして道がどん詰まりになった所で車は停まり、到着の声が掛かる。「老龍井」と書かれた門を潜る。入場料を払う。Yさんは駐車スペースの関係で係員と口論になっていて、もう少し戻った所に駐車したところ、今度はそこの前の店の人間から文句を言われている。普通なら堪らない所だが、Yさんは全く動じず言い返している。これは凄い。
何とか収まり、中へ。歩いていくと「龍井発祥の地」、「18本の茶樹」などの表記があり、ここが龍井茶の原点であることが分かる。実際に原木が囲いの中にある。その横を茶摘みに行くと思われるおばさん達が黙々と歩いて行く。いよいよそれらしくなってきた。
その奥には本当に斜面に茶畑が存在しており、茶摘みが行われていた。聞いてみると安徽省から来た出稼ぎのおばさん達だった。摘んだばかりの若芽を籠の中に入れて、斜面を下りてきた。よく見ると上の方で今も茶を摘んでいる人々が見える。うーん、これは素晴らしい光景だ。おばさん達が口を揃えて「今年は寒かったから、芽が出るのが遅い」と言う。
しかしその横をちょっと歩いていくと、下の方に温室のような建物が見えた。よくよく見ると何とレストランの一室。これには興ざめである。確かにこのロケーションであれば、高い料金が取れるのかもしれない。もしやすると政府幹部などを接待するためのものかもしれない。しかしこの場所には相応しくない。
それにしても今日はいい天気である。何とも言えない爽やかな風が吹き、花が咲き乱れる。これは私の日頃の行いの良さであろうか。老龍井と書かれた井戸があったが、水は出ていなかった。池のようになっており、中には小銭が投げられていた。うーん、ここも泉としては既に枯れたか。
一つの建物に入るとそこは茶葉販売と喫茶室。今年の最高級茶の値段を聞くと1斤、4500元との答えが返ってきた。それはここで採れる茶葉の値段らしい。思わず、高い、と唸り、身を引いてしまう。売り場のお姐さんも私の貧弱な様子を見てか、特に勧める風もない。帰り道、道の脇で摘んだばかりの茶葉を天日干しする農夫がいた。いいお茶かも知れないが、そこまで値段が高いのだろうか、決して彼が悪いわけではないが、その姿が恨めしい。