安先生の驚くべき活動
学校に着くと先ず安先生の部屋でビデオを見た。安先生のプログラムは広島以外にもう一つあった。それが日本海ゴミ拾い。先生が大学院時代に鳥取砂丘に行き、その海岸で見つけたごみにハングルが書かれていたことから、『恥ずかしい』と感じて、一人で拾い始めたのだという。
その後大学の教員となり、鳥取大学と協力して、学生共々毎年ごみを拾い続けている。これも広島同様フェリーで往復、日々の移動は自転車というエコぶり。『世の中にはエコと言いながら、ごみを大量に出す人、車を運転する人がいるが、それはエコではない』といい、何とごみ拾いをする時の昼ごはんは『パンの耳』と水のみ。パンの耳ならごみは出ないし、捨てるのはもったいないと。
最近はこの活動が評判を呼び、日本のテレビにも取り上げられている。各市町村もわざわざ韓国からごみを拾いに来てくれる学生に対して『せめて昼ご飯に美味しいものを』と幕の内弁当などを用意してくれるのだが、安先生は不満だ。ただパンの耳が手に入りにくい事情も理解している。
日本の学生や地域のボランティア団体も活動に賛同して、一緒にごみを拾う。これが日本人との交流にもなり、日本語の勉強にもなるという。全く無駄がなく、そして有意義な活動だ。これを思いつく安先生は、気骨のある人。
午前中の授業は3年生だった。私がお話することになり、文章の書き方と旅について、簡単に話した。日本語の理解力はかなりあり、普通のスピードで話しても付いてくる学生が多かった。日本に行ったことがある学生も多く、日韓の違いなどについても少し考えてみた。我々と違って若者には吸収力がある。間違った指導をしなければ確実に理解して行くものだと感じる。