3.博楽
(1) 西へ西へ流れ行く
石河子を出発し、一路西へ針路を取る。今日は博楽まで350㎞。いよいよ過酷な車の旅が始まった。昼からお酒を飲んでしまったこともあり、いい気持ちでバスに乗る。天気は上々、空も青い。
(1) 西へ西へ流れ行く
石河子を出発し、一路西へ針路を取る。今日は博楽まで350㎞。いよいよ過酷な車の旅が始まった。昼からお酒を飲んでしまったこともあり、いい気持ちでバスに乗る。天気は上々、空も青い。
片道2車線の高速道路をスイスイ走る。途中路肩に大量のトラックが停まっていた。聞けば、トラックは日中、この道を走ることが出来ないと言う。確かにトラックがいないので、走りやすい。トラックの荷台に目をやるとものすごい数のトマトが積みこまれて、動き出すのを待っていた。このトマトがラグメンの具になるかと思うと、さっき食事をしたばかりなのに、腹が減る。それ程に美味しそうに見えるトマトであった。
道の脇に時々表示が出ている。第XX兵団、この付近も多くは兵団の開拓地のようだ。石河子は大きな街であったが、多くの兵団員は、更に奥地の未開の地を開拓していったのだろうか。そしてそこには少数民族は住んでいなかったのだろうか。バスから眺める限り、何一つ分からない。
ちょうど中間ぐらいでトイレ休憩があった。運転手は他のドライバーと言葉を交わす。どうやらこの先の道路事情を聞いているようだ。こんなにきれいな道路があるのだから、情報など要らなそうに見えるが、そこは昔の伝統か。いや、博楽市はこの幹線から外れた場所にあり、情報は重要だった。
右側に列車の線路が見えたと思ったら、長い長い貨物列車がバスと並行して走っている。この列車は一体どこへ行こうとしているのだろうか。一体何を運んでいるのか。我々もこの列車も何だか、流れに任せて西へ西へ流れていくようだ。
夕方ようやく博楽市に着いた。夕陽が見事に傾いていた。街の外れの立派なホテルにチェックインした。