(5)サリム湖 馬オジサン
天山山脈の山中にあるサリム湖は標高2000m、新疆で最も高い所にある湖。サリムとはモンゴル語で「屋根の上の湖」という意味らしい。湖は青く澄みきっており、いかにも高地の湖らしい。周辺は牧草地帯、いくつものゲルが見られ、遊牧民が羊を追っていた。
湖の風景も美しい。水も透き通っている。ここには汚染というものが感じられない。バスが止まったので降りる。そこにはモンゴル族と思われるオジサンがただ一人、馬を引いて待っていた。好奇心旺盛のN先生、早速馬に乗る。1周2元とか。こんなので商売になるのだろうか。
オジサンに聞いてみると、昔は多くの観光客が馬に乗り、一日で500元稼いだこともあったそうだ。2元なら、250人が乗った計算になる。最近は商売にも陰りが見えているらしい。実はこの場所は多くのバスが停まる場所ではない。オジサンは賭けに出ていたのだ。競争を排除し、少なくても客を独占する。
N先生とオジサン、意気投合してタバコを分け合う。タバコを吸うオジサンの後姿が実に哀愁を帯びていて、何とも言えない雰囲気がある。この美しいサリム湖とオジサン、そして馬、何とも言えない味わいがある。しかしもう少し経つと道が良くなり、オジサンはいなくなり、この風景も失われてしまうだろうか。寂しさを感じる。
綺麗な湖を後にして、そして我々は苦難にあった。山越えの道が相当に悪いのだ。昔はもっと悪かったといい、現在改修中の場所が多い。それはそれでデコボコなのだ。1時間ぐらい揺られただろうか。平らな道に出た時には腰が相当にいかれていた。