(5) 陳さん
今回案内役を買って出てくれたのは陳さん。彼は私の元部下だった中国人の現在の部下。ある意味業務命令でアテンドしていた。しかしそこは中国、今日は日曜日だが、嫌な顔一つせずに、いや寧ろ楽しんで案内してくれている。これは嬉しい。
今回案内役を買って出てくれたのは陳さん。彼は私の元部下だった中国人の現在の部下。ある意味業務命令でアテンドしていた。しかしそこは中国、今日は日曜日だが、嫌な顔一つせずに、いや寧ろ楽しんで案内してくれている。これは嬉しい。
彼と一緒に車に乗っていると実に様々な質問が出て来る。「自分たちは日本のアニメやドラマを見て育った世代」として、日本には特別な親近感があるという。ただ自分たちの描いている日本は、経済的にも科学的にも、強い国であるが、昨今の報道を見る限り、それが幻想になりつつあるとのこと。私は何も言い返すことが出来ない。
しかし日本経済だけが心配なのではなく、中国経済も厳しい局面が近づいているという。彼は金融機関職員だが、北京からここ青海に派遣された理由を詳しくは語らないが、不良債権の処理のようだ。これは10年前の私と私の部下が経験したあの状況だ。10年経って後輩がこれに苦しむことになる。金融業は因果な商売なのだろうか。
彼はこの地にあっても、世界の様々な情報に耳を傾けている。本当は海外勤務を希望していたが、残念ながら事情でその道から外れ、国内業務をやっている。日本で仕事をしたかったかと聞くと力なく首を振る。やはり日本は憧れの国であり、現実に行く場所ではないらしい。