窓から外を見ると、何かが煌めく。人が大勢で、人形のようなものを山車に載せて、行進している。太鼓が叩かれ、所謂お祭り騒ぎだ。これは何だろうか。隣の男性は「今日はドルガプージャの最終日で盛り上がっています」という。人形はドルガであるわけだ。ドルガプージャは、ベンガルの1年に1度のお祭り、その最終日の夜ともなれば、相当の盛り上がり。
道には大勢の見物人が出ていて、凄い状態。交通は遮断されるし、タクシーの奪い合い、バスやリキシャーには人が詰め込まれている。これは本当のお祭り騒ぎだ。そして我がタクシーも何とか喧騒を抜ける。ホテルはどこだろう、いやここはどこだろうか。それから長い時間タクシーに乗っていた。さっき見たのは市内ではなく、郊外だったのだ。
市内中心に入ると、やはりライトアップされている。それは何とも言えない、不思議な空間。まるで映画のセットに紛れ込んだような錯覚を覚える。この街は何と古めかしい、とても素晴らしい、植民地時代の建物を残した街であった。かなり細い道を何度か通り、ようやくホテルに着いた時には結構疲れていた。
それでもホテルをすぐに出て、お祭りを探す。この辺は繁華街なのか、人通りは多いが、お祭りは見られない。兎に角暑くて、のどが渇く。冷たい飲み物を買おうとしたが、なかなか見つからない。冷蔵庫を使う所は多くない。大通りに出て、何とか冷蔵庫を発見、自らスプライトを取り出す。お爺さんに渡すがいくらか分からず、100rpを差し出す。おつりが来た。30rpだったようだ。
スプライトを飲み始めると急に腹が減る。明るくはないコルカタの街に徐々に慣れている。チキンエッグロールと英語で書かれた店の前で止まる。これなら食べられそうだ。息子が卵を溶き、大きな鉄板に敷き、そして後は親父がひっくり返す。ようはクレープだ。出来上がるとそこにチキンを混ぜて丸める。一口食べると周りの卵の温かさと中のチキンがマッチしている。まあ、親子丼と同じ発想か。35rp。
マクドナルドでは多くの若者がハンバーガーを頬張り、ポテトをつまむ。外では老婆がそのような金持ちに小銭をせびる。最後に路地に入ると、テントが張られ、中にドルガが祭られていた。写真を撮らせてもらったが、何だか人形劇の舞台のよう。インドは多様だ。