車に戻り、ベルルマートへ出発。ところが・・。何と片道一車線の道が全く動かない。何かが起こっている。運転手も驚いて車から飛び出し、前に見に行く。そして諦めたように「ドルガプージャ」と叫ぶ。このお祭り、もう終わったのではないのか。見ていると、長い長い行列が植物園の方に向かい、歩いてくる。鼓笛隊あり、ドルガの人形の山車あり、大勢が嬉しそうに歩いてくる。これではお手上げである。
この行列が過ぎるのに20分は要した。ここから目的地まではどの程度離れているのか分からない。運転手には敢えて急いでいると告げない。告げるとよくないことが起こりそうだったから。その後車は順調に進んだ。此れなら急がなくても間に合うかもしれない。
しかしインドはそう甘い世界ではなかった。運転手は脇道を進んだが、また車が止まる。今度は踏切だ。まるで障害物競走のようだ。それでも踏切だから数分のことと思ったのが間違い。電車はいつになってもやって来ない。リキャーなどはバーの上から車を越えさせ、通って行く。初めは笑って見ていたが、これが15分も続くと堪らない。それでも私の心境は「なるようにしかならない」というもの。インドで悟りを開いたか。
20分待って列車が行き、ゆっくりと遮断機が上がる。しかし人も車も一斉に進もうとするから、直ぐには動き出せない。物凄い時間のロスであった。それでも何となく楽しい。もうそれほど時間はない。それから車は関を切ったように進む。でも時間が。そして・・。
そして突然、ベルルマートに到着した。何と時間はちょうど5時。これはもう奇跡だ。ぴたりと着けた。何故だろうか。やはりなるようにしかならないことを証明した。車が駐車場に入り、私は入口へ。
ベルルマート、ここはラーマクリシュナ・ミッションという宗教団体の総本山。私は実はこの教団に関して殆ど何も知識はない。では何故やってきたのか、それは同級生のSさんがアポを取ってくれたから。Sさんに「コルカタ行くんだけど」と気軽に言うと、「あそこに泊まれるかもしれない」と日本支部に連絡したところ、ちょうど日本に駐在しているスワミがコルカタに戻っており、「8日の午後5時にベルルマートで待っています」と言われたらしい。
私の旅には何故行くのか、とかどんな意味があるのか、などと言う問い掛けはない。ただ行けと言われれば行き、来いと言われれば行く、意味は後から自然と分かるもの、という考え方がある。そういう意味ではこの訪問には何となく惹かれるものがある。