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2012.01.23

 旅行記(インド)

ダージリンお茶散歩(5) 茶摘み娘の明るさ

茶摘み女性の明るさ

午前中は相当に歩いた、特に最後に家へ帰るための上りがきつかった。思わず、ベットに転がり込む。そして昼食を取ると眠気も増す。ところが既に午後の部が始まろうとしている。午後は何と茶摘みを体験しようと言うのだ。ベルギー人の男女がやって来て、「ギブアップ」と言って帰っていった。私一人になった。


パサンは籠を背に、ロープを頭にして、茶園に向かう。摘んだ茶葉を持ち帰るつもりか。それでは茶園から文句が出よう。どうなっているのか。先程歩いた道を下るとすぐに茶摘みをしている人々に出会う。パサンはスーパーバイザーに声を掛ける。そして私に向こうの方を指して、「あっちのスーパーバイザーは英語が出来るから行け」と言う。そして彼自身は何と草刈りに更に降りて行ってしまった。


取り残された私は仕方なく、指さされた方角へ。しかしそこには道はなく、茶畑を突っ切る。これが意外と大変。何度も躓きそうになりながら、喘ぐようにして行く。ようやく到着すると、何だか皆笑っている。聞けば「あんたは顔がネパール人そっくり。それなのに茶畑の歩き方がなっていない」と言う。そこに居た5人の茶摘み娘はどっと笑いだす。思わず苦笑。


スーパーバイザーは工場の方で21年勤めた後、6年前からこの仕事をしているベテラン。右手に傘を持っているだけの身軽ないでたち。「個人的にはセカンドフラッシュが美味いと思うが、今年の秋茶もいいよ」と言いながら、茶葉の摘み方を教えてくれる。


女性たちの手つきを見ていると実に素早い。ある高さ以上に成長している緑の茶葉を尽く、一瞬にしてむしり取る感じ。茶葉が両手一杯になると背中の籠へ上手く放り投げる。これは簡単なようでなかなかできない。龍井の茶摘みのように芽の部分だけを摘むのではなく、凍頂烏龍の里で見た根こそぎ摘んでいくパターンだ。


5人は思い思いの場所で摘んでは移動する。恐らく一定の法則があるのだろうが、実に自由に見える。スーパーバイザーは時々、摘み切れていない茶木の方に歩き、その木だけ摘む。そして近くの女性の籠に放り込む。女性は礼を言うでもなく、自分の手を動かす。


結構な重労働だが、女性たちは実に明るい。常におしゃべりしている。今日はドルガプージャのお祭り休み明け初日、話題は殆どがお祭りらしい。誰かがしゃべり、誰かが応え、そして笑う。スーパーバイザーも「話すなと言ったら、仕事にならないよ」と諦め顔。彼女らはこの周辺、またはダージリン地区からやって来る。午前中は比較的高齢者が多かったが、今回はかなり若い子もいて、後継者不足の心配はなさそう。


茶園には山羊がいて、草を一生懸命食べている。除草の代わりに飼っているのだろう。確かタイの工場で金融危機の時、山羊を飼って除草をした話を聞いたことがある。それにしても貪るように食べている所を見ると、食事が与えられていないのだろうか。何とも可愛らしい。


1時間半ほど、眺め、そして偶に手を動かしていたら、作業終了時間となる。4時前には終わるらしい。皆帰り支度をして、茶葉で一杯になった籠を背負い、急な坂を上がっていく。これは大変な作業だが、これまた明るく振舞っている。古来女性は強いと言うことか。工場まで持って行き、そこで担当の計量を受け、今日の作業は終了した。


工場まで茶葉を運ぶとそこには秤があり、お姐さんが一人、全員の摘んだ茶葉を計量してノートに付けていた。これで給与が決まるのだろう。終わると三々五々帰って行った。その後ろ姿は流石にちょっと疲れて見えた。パサンはとうとうやって来なかったが、一人で帰ることに問題はなかった。


その日の夜パサンは焼きそばを作った。味付けは濃かったが、まさに焼きそば。しかも名前はチャウメンだ。中国から入った食べ物と思われる。スープはラダックと同じ懐かしい味がした。疲れもあり、早々に就寝。