ランチ後、山の上にゴンパがあると言うので行って見る。運転手もすることが無いと言うので同行。20分ほど歩けばつくと言うが。街中はダージリン同様車がクラクションを鳴らし、うるさい。特に道が狭いため、車と人が殺到する。早く抜け出したい。
しばらく行くと学校帰りの学生ばかりとなり静か。周囲は狭い上り道だが、不思議と家の新築を行っている所が多い。どこからそんな資金が来るのだろうか。一部は外部の人間がここに別荘として建てていると言うが、道沿いに別荘?一際立派な4階建ての家があった。国境難民などを収容するために建てられたらしい。政府や国際的な団体の支援があると言うが、こんなに立派なのだろうか。

更に歩いて行くが一向に到着する気配がない。坂はどんどんきつくなる。途中に立派なお屋敷があった。モーガンハウスというらしい。昔はイギリス人の別荘だったが、今ではインド軍の別荘らしい。一般人は立ち入りできない。
イギリスと言えば、ゴルフ場もあった。道の左側の斜面を使ったコースで、フェアウエーは狭く、スライスは崖から落ちる。かなり難易度は高そう。インド軍の将校と思われる人々がプレーしていた。霧も掛かっており、良く見えなかったが、如何にも鍛えている、と言った感じでプレーしていた。
イギリスは避暑地に必ずゴルフ場を作る。これは徹底して行われた植民地政策で感心する。こんな山の中に行ったどれだけの労力を投入したのか、考えるだけでも頭が痛くなる。
1時間経ってもまだ到着しない。いい加減疲れたが、運転手と話しながら歩く。話題はこの地の職業事情。基本的に仕事が無いので嫁が取れないという。運転手などは季節労働者であり、収入が不安定で困る。仕事が無ければ出稼ぎに行くか、軍隊に入るか、のどどちらかしかない。彼はそのどちらも嫌で、運転している。結婚できたとしても、その後収入が不安定になる、出稼ぎで長期間留守にすることにより、不仲となる。離婚率は30%にもなるという。これは個人の問題ではなく、社会問題であるが、政府も含めて有効な手立てはない。
宗教についても考えさせられる。仏教の僧侶は近年とみに金銭欲が高まっており、何かをお願いするのに全てお金を要求される。仏教への信仰心が薄れてきている。一方キリスト教はこの機会に信者を増やそうとしている。特に学校を建てて信者の子供の学費を優遇するなど、こちらも実利に訴えている。クリスチャンへの改宗者が後を絶たない。それでよいのだろうか。
結局坂道を2時間近くも上り、ようやくゴンパへ着いた。既に疲れて果てていたが、折角なので一通り見学する。インドのラダックでも見た、あの厳かなゴンパがそこにあった。そして中では経が唱えられており、日本の仏教界のような堕落は感じられない。ただ何となく、張り詰めたものが無い、という印象はあるが。
帰りは下りであり、相当のスピードで進んだ。途中で古いミシンを使って縫製をしている所があり、ゴルフ場では水を買ったりしながら、1時間ちょっとでホテルに辿りついた。