運転手が今日のホテルを探している。しかしこの辺は街とは思われない。一体どこへ行こうとしているのか。ようやく見つけたホテル名はヒドゥン・フォレスト。如何にも隠された感じで見つかり難い。ここも傾斜地に建てられ、景色が売り物のようだが、生憎濃い霧が出て、眼前の視界を遮る。

ここまで私を運んできてくれた運転手と別れる。私はこのまま彼の車で行動したいとも考えたが、それは料金に含まれておらず、ガントクに2泊するとかなりの金が掛かるらしい。また今は旅行シーズンであり、彼には他にも仕事がある。名残は惜しいが慌ただしく帰って行った。
ホテルのダイニングに残された私におばさんが、紅茶を出してくれる。ウエルカムティー、言われたその紅茶は、冷めないように布巾が掛かっており、重厚なポットと相俟って、本当に熱い。相当に時間がたっても冷めていない紅茶が飲めた。何だは腹も減らない。
流石に毎日歩き回り疲れたので、部屋で休むことにした。テレビを点けると、色々なチャンネルが飛び込んできたが、その中にブータンテレビがあった。何を言っているのか分からないが、Liveと書かれた画面には、新国王とその妃が映っていた。国王の婚礼式典を生中継している。その後日本にもやって来てブームとなる二人、ブータン国内でもかなりの人気で迎えられている。それにしてもこの人たち、日本人に似ている。いや、今の日本人ではなく、昔の日本人に。
チャンネルを切り替えるとラグビーのワールドカップ準決勝が始まろうとしていた。ウエールズ対フランス。ラグビーを見るのは久しぶりだが、英連邦で見ると何だか厳かな気分になり、結局最後まで見てしまう。息の詰まるような熱戦、なかなか得点が入らず、シャンパンラグビーと言われるフランスは影を潜め、粘り強いウエールズに、根気よく対処していた。
試合が終わると一気に気が抜ける。外はここ数日晴れ間が無く、どんよりしている。このホテルの欠点はネットが繋がらないこと。正確にはホテルのダイニングにはWifiがあり、更にはホテルの業務用にはケーブルもあるのだが、何故か私のPCには繋がらない。仕方がなく、街へ行って見る。