翌朝は快晴とはいかなかったが、雨は上がった。ホテル内を散策。いい感じで庭が作られている。確かに自然を求める人にはいいかもしれない。でも泊まっている人は殆どいない。昨晩の誕生会の余韻の残る母屋に行く。この地の最高峰、標高8,586mはエベレスト、K2に次いで世界第3位であるカンチェンジュンガは、遥かに霞んでいる。
朝食はここ3日間同じパターン。ようはこの地域ではそこそこ以上のホテルには全て英国式の作法が根付いているということか。眼前に霞を見ながら、相変わらず優雅な朝食を取る。
隣にフランス人のおばさんがやって来た。この人も一人旅らしい。全て旅行社のアレンジで動いているというからお金がある人なのだろう。ひとしきり旅談義をする。これもこのような自由な旅人同士の楽しみだ。
予約したタクシーに乗り、ロムテックゴンパに向かう。車はスズキ製の小型車。最初に下り、途中で別の山を登り、小1時間。基本的に山道だが、時折段々畑が見える。これがなかなか美しい。運転手に停まってもらい、写真を撮る。牛小屋で少年が番をしていた。実に素朴。
ゴンパの入口に着く。運転手が警備兵を指さす。彼はパスポートの提示を求める。かなり厳格な警備だ。色々と宗教的な争いがある、ということらしい。その他、政治的な理由もあるかもしれない。やはりこの地は複雑な様相を呈している。
ゴンパは懐かしい。インド、ラダックで訪ねたゴンパと同じようなお寺が広がる。但しこちらは比較的建物が新しく、また山伝いでなく、平たい場所にある。僧坊もかなりあり、多くの修行僧を抱えているようだ。天気も良くなり、実に快適な朝だ。参詣する欧米人もちらほら。帰り道は天気もよくなったが、方角の関係で最後までカンチェンジュンガを拝むことは出来なかった。残念。
ホテルへ戻り道すがら、1軒の中国料理店が目に留まる。ここシッキムは中国人入境禁止の土地。メニューが書かれた黒板を見ると簡体字で書かれており、脇には中国語教えます、の表示もある。中国人はこの地で何かしているのだろうか。またシッキムの人々も中国語を勉強して職業に就くのだろうか。