昨日ホテルで予約したツアーに乗ってミーソンへ。今回のハイライトの1つなので気合を入れていく。英語ツアーで一人僅か9ドル。ミーソンの入場料3ドルを含めても12ドルで行って帰れる。更に帰りはボートで。簡単な昼食も付く。こんな料金は日本では考えられない。いや、ベトナムに来る日本人は日本語ツアーで、バカ高い料金を払っているはず。パックツアーなので明細が分からないだけ。そろそろ日本人も目覚めた方が良いと思う。
バスは中型で20人目一杯乗っていた。その構成が面白い。ヨーロッパ人が13人、中国人4人、シンガポール人夫婦2人、そして日本人は私だけ。車内では中国人のリーダー格の男が一人大声で話しており、西洋人はちょっと気分を害している。確かにこれからミーソンの世界遺産を見に行く雰囲気にはそぐわない。
バスは郊外の水田地帯を抜け、小1時間で到着した。深い樹林の中を歩く。そこにミーソン遺跡の象徴と思われる建物が出現した。大きさはやや小ぶりであるが、背後の山にマッチしている。ミーソンとは『美しい山』という意味だそうだ。
外壁にはヒンズー教のヴィシュヌが描かれ、その横にはハスの華の台座がある。確かに仏教徒とヒンズー教、インドと中国の文明の融合が見られる。周囲を山で囲まれ、実に自然で、落ち着いた雰囲気が醸し出される。
ところが中国人4人組は英語が分からないのか、ガイドの説明も聞かずに勝手に話し始め、それが塔内で響き渡り、西洋人から窘められる。周りを見ると北京から来た別の中国人団体観光客もいる。ガイドの女性に聞くと最近中部も中国人観光を奨励しており、どんどん増えている、我々の仕事も増えた、と言うが、その顔は喜んでいるようにも見えない。
ミーソンの遺跡群はアンコールワットから見えれば、とても小さな遺跡に見える。大きく3つの区画に分かれているが、最初に見た場所以外は、建物が破壊されている。米軍による空爆で廃墟と化したと言う。
『廃墟』というには周囲が穏やか過ぎるが、それでも一定の哀愁が漂う。崩れた遺跡に草がぼうぼう生えている、無常。そこへ北京の人々がやって来て『何もない、行こう』と去る。彼らには目の前に見える物しか、興味がないようだ。それは日本人でも同じだが。出来れば目に見えない物を味わう余裕が欲しい。
ゆっくりと2つの廃墟を回る。シンガポール人の夫婦も同じように回っている。ご主人は日系企業に勤めており、実は日本語が出来た。アジアを回っているとこういう人によく出くわす。彼らは廃墟を感じているようだ。