(3) 夕飯
ホテルで休息しているとKさんが仕事から戻り、部屋を訪ねてきた。早々にブツを渡す。Kさんから「ぽん酢、レトルトカレー」などを頼まれていたのだ。元ベトナム人と言っても日本に30年、味覚は殆ど日本人である。私が昔、中国滞在中に欲しかったものと同じであったので、何となく懐かしい。ベトナムは発展している、とは言っても、ここミトーではまだまだ厳しい生活が続いているようだ。
夕飯に向かう。ホテル前からタクシーに乗ったが、流しのタクシーは使わない。電話で呼んで乗り込む。「タクシーは選ばないと、ボッタくられる」、Kさんが言うのだから、気は抜けない。
この街ではかなり良いレストランに行く。ガーデン式で開放感が良い。サイゴンビールを飲みながら夜風に吹かれる。極楽。周囲を見渡すと、少しお金のありそうなベトナム人が大騒ぎしながら、飲み食いしている。この辺りのお金はどこから出て来るのだろうか。
貝の炒め物が出る。クリームコロッケのような物が出て来る。うまいー。そして海鮮と野菜たっぷりの鍋を頂く。幸せな夜が過ぎていく。やはり食事は一人より二人が良い。そして地元のことが分かっている人と行くのが良い。
ホテルに戻ると、結婚式の披露宴がお開きを迎えていた。ベトナムでは結婚式に多額の費用を掛け、盛大に行っている。このホテルで行われているということは、地元の有力者の関係だろうか。新郎新婦がお客さんを送って出て来た。「おめでとう」と言いながら、新郎新婦と写真を撮った。彼らはそそくさと会場に戻る。宴はまさに延々と続くらしい。