(3) ベトナムの問題点
その後3年前にお世話になった日本人Kさん(ホーチミン在住8年)、今回アレンジをお願いしたNさん(ホーチミン在住10年)と会って話を聞いた。共に奥さんはベトナム人。
Kさんは再開発に指定された地域に住んでいいたため、代替マンションに引っ越したばかり。その引っ越しは相当長い間待たされ、そして突然移動させられた。政府が用意した家だが、何と電話もテレビも線がなく、電気水道のみ。子供の学校転入手続きは1か月も掛かった。庶民の生活など全く考えていない政府には怒りを感じている。
老人など転居できない人も続出している。実は子供が補償金持ち逃げしたり、前払い金を使ってしまうなど、家族崩壊も見られる。また老人が郊外に引っ越しても友人がなく、孤独な状態に置かれてしまう。これまで仕事のあった人も引っ越しで近所でのちょっとした仕事がなくなってしまうが、これは補償外。補償金をもらっても家が高くなり過ぎて、ローンを組まないとマンションは買えない。老人などローンが組めない人の中には路上生活者も出る始末。
そもそもホーチミンでは再開発による立ち退きが横行しているが、その理由の一端に日本政府と企業も関与しているという。日本政府はベトナム向けにODAを奮発しているが、地下鉄や道路を作るために追い出される庶民がいることは誰も言わない。ベトナム政府も一部の利権のために、庶民を犠牲にしている。「ベトナムには原発も新幹線もいらないはずなのに」との言葉は重い。
尚昨年外貨政策が変更された。基本的に全てドン表示となり、ドルを受け取ることはライセンスが無ければできなくなった。ホテルなど一部で混乱もあった。ドル金利は下がり、ドンはタイトになっている。