2.コックスバザールまで (1) 空港を出ると
ようやく空港の外へ出た。その瞬間、実に多くの出迎えの人々が空港外で待っていた。と思ったが、それはただの見物人だった。学生達は意味が分からず、自分がスターになったような気分になる。
なかなか凄い迎えのバスが到着する。ところが学生たちは気分が高揚してしまい、ライフル銃を持つ警備のおじさんと記念写真を撮り始める。普通だとそっぽを向くだろう警備員が学生の要求に素直に応じるから不思議だ。やはり素直な学生の気持ちが通じるのだろうか。
何とかバスに乗り込む。しかしこのバスは年季が入っている。椅子はガタガタで座れない所もある。天井には扇風機が備えられ、エアコンなどはない。バスが進みだすと、周囲の見物人が手を振る。実に不思議な光景だが、確か中国でも20年以上前にはあったような気がする。
空港を出ると直ぐに港が見えた。バングラディシュ第2の都市、チッタゴンは港町。中心はここだろうか。遥か向こうに『Kafco』の看板が見えた。このバングラディシュ最大の国営肥料会社には、確か銀行員時代に融資したことがある。あれは15年以上前ではないだろうか。こんな所でこの名前に出会えるとは、驚きと感激。