(2) 延々と
それから市内メインの通りに入った。そこには驚くばかりの人、リキシャー(インドと同じでオートと人力)、そして車。空港を出た時は快適だったが、この通りではバスは一向に動かない。Sさんが『これは6時間は掛かるな』とつぶやく。通常3-4時間と聞いていたので、先の長さが思いやられた。
チッタゴンの街はこの通りを中心に延々と続くようだ。何でこんなに道が長いのだろうか。あたりはだんだん暗くなり、バスに薄暗い電燈が点く。何だかとても怖い物を見ているようだ。その中でクラクションと人の叫び声が響く。
学生たちは旅に疲れで寝入る。私はずっと外を見て過ごす。それしかやることがない。道はガタガタで、また車内は暗く本などは読めない。気持ち的には完全にバングラに圧倒された。この渋滞はイスラムの祭りの影響だと聞く。はた迷惑だと一瞬思ったが、ここはイスラム教国。我々は完全なアウエーだ。
市内を抜けバスが漸くスピードを出す。しかしそこからが長かった。3時間以上経ち、そろそろつくかと思うと何と中間の休憩だった。ドライブインとは言い難いが、食堂があり、トイレもある。チャイが出て来て一息つく。正直食欲はない。
一部元気な学生は建物を飛び出し、道の向かい側に見学に行く。そこには様々な食べ物を売っていたが、暗くてよく見えない。焼き鳥のようなものがあった。言葉が通じなくても彼らは積極的に身振りでコミュニケーションを図ろうとしている。だが一部の学生は既にぐったりしてしまい、この先が思いやられた。