少数派 ラカイン族
そして9時過ぎに集合場所であるお寺へ向かう。お寺は先生の家から歩いて3分ぐらいと近い。実はイスラム教徒が90%を占める国、バングラディシュにおいて、極めて少数派であるラカイン族という仏教徒にお世話になっているのである。先生も、空港に迎えに来てくれて、全てを取り仕切ってくれているラショーもラカイン族なのである。
お寺は外の喧騒から外れており、静かな空間だった。階段で上に上がると、気持ち良い風が流れる一角があり、腰を下ろす。お坊さんがやって来て、中を見せてくれる。これも長年このお寺及び仏教徒に貢献してきたSさんのお蔭だ。
そもそも何故、ラカイン族との接点が出来たのか。それは1990年に森智明さんという現地でマラリアで亡くなったジャーナリストの遺志を継ぎ、友人であったS氏が中心となり、立ち上げたボランティア団体だった。学校の脇には森さんを偲ぶ記念碑が建てられており、長く学校を見守っている。
しかしここで驚くべき事実が。今日はイスラムのお祭りの日であり、学生がボランティア活動をする小学校は休みであることが判明。しかも明日以降も休みかもしれないとのこと。どうなるんだろうか。日本の旅行社主催ツアーなら、ここでクレーム続出かもしれないが、Sさんは少しも慌てず、『こんなことは時々あるんだよね』と言い、学生達もそんなものか、と思っている。それが良い。