(3) 二日目午後 ココナツオジサン
夕方まで予定はない。そこそこ暑いので昼寝でもするかと思っていると、既にテラスで昼寝している子がいた。先生の息子。何とゆりかごでお休みだ。これはいい。奥さんがゆっくりゆっくり押している。心地よさそうにスヤスヤ眠る。いいね、実に。
すると門からおじさんが一人、するすると入って来て、庭のヤシの木にするすると登って行く。一体誰だ、泥棒か、とも思ったが、白昼ヤシの実泥棒もないだろう。おじさんは実に鮮やかに木に登り、そしてお尻に付けていたロープを使い、ヤシの実をするすると地上に下ろした。
この技術は凄い。慣れているというだけではない、何かがある。そしてまたするすると降りて来て、ヤシの実の束を掴み、するすると門の方へ。門の外にはリキシャーが用意されており、摘みこむとさっと行ってしまった。
これは契約作業なのだろうか。ヤシの実は売れれば先生の家の収入になるのだろうか。家の人は誰一人見ていない、そんな中でこの仕事は信頼で出来ているのだろう。面白い。