11月12日(土) (11) 七日目
運動会
翌朝運動会当日、空は快晴だった。今日は学生達に緊張感がある。前日の練習ではどうもうまくいかなかった。一日でそれを修正するのはかなり大変なことだ。先ずは自分達で昨晩検討した内容を実行してみる。大縄跳びなどはやらないことにして、台風の目と二人三脚にかける。
台風の目は5人が横に並び、一本の棒を持って進む競技。小学生だけでこれを行うとなかなか進まないため、各グループに一人大学生が参加して、リードすることとした。また4列に並んで前へ習えをしている。これはうまく行った。子供達も安心して前へ進めた。初めは心配そうだった校長先生や他の先生達も楽しそうに見ていた。子供達は実に生き生きと躍動した。
次は難関の二人三脚。二列に並んだ小学生の足に布を巻く。これで大丈夫なのか。案の定、低学年の子達は自分で進めず、先生が両脇から抱えたり、二人で走って転んだりしていた。それでも泣いたり叫んだりする子はいない。皆ちょっと恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべ、楽しそうだ。そう、子供はこうあるべきだ。自分が子供の頃の照れ笑い、思い出した。
今の日本の小学校には運動会はあるが、危険は極力避けること、競争も避けること、が命題だと聞いたことがある。しかしそんなことでは、運動会をやる意味がない。新しいことに挑戦する、みんなで競い合うことこそ、重要だと思う。バングラの学校には運動会はないだろうが、既に生活その他で厳しい競争に晒されている。
最後にもう一度台風の目が始まる。皆気に入ったようだ。更には先生チームが登場し、会場は沸いた。校長先生も参加した。先生のこんな姿を見ることは日頃はないのであろう。いいことだ。皆で一緒に記念写真を撮り、お菓子を分けて閉幕した。お菓子を食べる時にごみを屑籠に捨てることを徹底していたのもよい。