最後の夜
最後の夜がやって来た。食事は最後まで美味しく、豪華だった。海鮮がふんだんにあり、エビやイカなどが使われていた。またゆで卵をちょっとあげた卵が美味だった。野菜も新鮮で味付けも日本人に合っていた。ある意味ではここはバングラディシュではないのかもしれない。結局カレーの様なものは一度も食べずに終わる。
先生の家族も別れを惜しんでくれる。13歳のチュミは小遣いがあるのかどうか分からないが、大学生全員と私に個別に記念品をくれた。これには本当に参った。何だかとても温かい気持ちが籠っていた。これは他の家族も一緒で、記念品が大学生に渡されて、名残を惜しんでいた。私もTシャツを貰った。少し小さく体にぴったりだったが、そのフィット感が、バングラを忘れるな、と言っているようだった。
家族の記念写真を撮った。お爺さん、お婆さん、先生と奥さん、息子、先生の妹そしてチュミ。皆いい顔をして収まった。我々がいた一週間、彼らは実に不便な生活をしていたはずだ。部屋を明け渡し、トイレやシャワーも提供してくれた。日本の家庭ならとても受け入れられないというだろう。そこには何かが流れていた。そして夜は深まった。