イミグレの怪
ここで面白いことが起こる。椅子はイミグレの向こう側にしかなく、イミグレに職員はいないが、ゲートは空いている。バングラ人は数人イミグレゲートを越えて向こう側へ行き、椅子に座る。我々も従う。誰一人止める者もない。こんな経験は初めてだ。
かなり待っているとイミグレ職員がやって来た。皆ゲートを戻り、列を作る。やはり滑稽だ。誰かが隠れていたら、どうするんだろうか。勿論この空港を使う便は少なく、人海戦術でも探し出せるとは思うが。イミグレ手続も非常にゆっくり進んでいる。
イミグレを潜ると手荷物検査がある。私が荷物を通すと「日本人か」とオジサンが気さくに声を掛ける。「日本人とは友達だ」と私の肩に手を掛けて話す。これまた不思議な人だ。学生達が次ぐ次通るとその度に日本人は友達だ、と言い、ニコニコしながらチェックする。ボディチェックもある。女性は仕切りのある中で行われる。イスラム的だ。
そして本当に定刻に飛行機はバンコックに向けて飛び出した。私たちのバングラの旅は終わった。